サビアン小説 1-2

幼い頃から、人の前に立って芸をしたい衝動があった。ある時は美しい音楽を演奏すること、ある時はピエロのようにおどけること。

小学生の頃、当時学年で一番やんちゃだった牛尾君を誘って、学芸会で同じ役を立候補しようと誘った。じゃま草隊という、ただひたすらに主人公の道を阻む、草の役だ。黄緑色、緑色、茶色の服を身に着けて、顔を泥色に塗って、じゃま草隊は踊って歌を歌う。やんちゃな牛尾君は、私の誘いに二つ返事で乗った。私も牛尾君も、とにかく舞台の上で誰よりも目立つために張り切って演じた。道に生えている雑草のアイデンティティを借りて。

罰ゲームのような時間に欲を出すという性質は、これまで幾度となく表れた。場の空気が凍ることは目に見えているのだが、むしろそうした瞬間を半分待ちわびて、芸を試みる。魅せられた人々の気まずそうな反応を見ると内心ぞくぞくした。


1-2 A comedian entertaining a group.

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