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ステージをどう見るか~音楽の見方について考えてみた

(1)問題提起
  

 ここ最近よく考えてるんですけど、自分って、ステージを見る時何を見ているんだろう、って思ったんですよ。

 わかりやすく言うと、例えばバレエを見て、「わあーきれい。楽しかったー。感動したー。」、ゴールデンボンバーのライブを見て、「わあー面白ーい。」、ジャニーズのNEWSの映像を見て「わあー手越君かっこいいー。」を超える感想を自分が出せるようになりたくて。だから舞台鑑賞の後は手帳やノートに感想をびっしり書くようにしていたんです。

 最近、

岡田暁生「音楽の聴き方」

許光俊「最高に贅沢なクラシック」

神谷敦彦「ヴィジュアル系の深読み話」

鈴木晶「バレエの魔力」

三浦雅士「バレエ入門」

ダンスマガジン

などのいわゆる評論家と言われる人の文章を読みまして(やっと)。自分は今それをどう見ているのか、今後はどう見ればいいのかについて考えたんです。

(2)考えたこと

 上記の本の発端って、音楽の場合なら「聴いた感じがいい」、バレエなら「きれい」をもっと深めて見ようよ、ってところから始まっていると思うんですよね。例えば、岡田さんと神谷さんが述べていることは「サウンドは問題ではない。メッセージを読み取るのだ」ということです。

 それで、私は音楽を聴く時、音じゃなくて聴いた感じじゃなくて、歌詞を考えなきゃ、って方向に突き進んでしまいました。

 でも、バレエの見方を考えるうちに気が付いたのです。ちなみに、私はバレエの見方はある程度確立していると思います。なぜなら、小さいころからやっていて、バレエがなんであるかを知っているから。

 バレエを見る時は、ストーリー、バレエ団と主役のダンサーの名前(知っている人がいる時は踊りの特徴を思い出す)を頭に入れた上で、踊り手が「どう」演じるか、「どう」流れを作るかを見ている。だったら音楽だって、メッセージを「どう」表現するかを見て、聴いたっていいじゃないか(ここで筆者は別の問題に捕らわれた。バレエって、メッセージ何?ダンスマガジン7月号に掲載されている町田樹氏のインタビューの内容もずっと引きずっている。その疑問は後で市中引き回しの刑に処すかもしれない。)。

 ということです。というよりも、物事の「どう」を見るのが私の見方だなって気づいたんです。

 思い返すと大学のレポートでも、人文系の学科だったので、授業で日本庭園とか行ってレポートを書くのですよ。そうすると、私は庭の作り方がどう見える、とか細部はこうなっている、というような観察したことばかり書いていた。そうすると、自分では、細かいところまできちんと見られた!という達成感があったのに、評価は可もなく不可もなく。レポートは本来、自分の考えを書かないといけないから、「どう」見たかはどうでもよい、あるいは「どう」見たかに至る理由を書かないといけなかったのです。

 要するに、音楽ってライブを見るうえで、MVを見るうえで、まず歌詞に注目したうえで、それがどう表現されているかを見るほうがより鑑賞に近いんじゃないかってことです。

(3)冒頭の感想を「どう」に着目すると

 上記の見方でもう一度感想を書いてみると、

 ゴールデンボンバーは、ライブで「音楽っていうのはこういうもんだ!」「劣等感をこうやって乗り越えた!(=乗り越えたエネルギーを伝えたい)」などなどのメッセージを太いアイラインに乗せて面白く伝えているからより良いのです。ゴールデンボンバーの歌詞の良さ、音楽の良さは皆々様おっしゃっているのですが、表現方法にも着目すると色々考えさせられます。例えば、鬼龍院さんはライブで下ネタを使うのですが、下ネタとは、多くの人に、直感的に直線的に(ストレートに)直接的に伝わりやすいものなのだと言うこともできます。。。わかりやすいのはやはり下ネタ・・・自分のいちばん身近なものを題材にしているからですかね・・・

 手越君かっこいいというのは、まず前提として、恋した相手にささやくメッセージがあって、それに彼のカリスマ的雰囲気と、高音がきれいに伸びる歌唱力とヴィブラートとダンスの軽快さがあって、初めて手越君かっこいいという感想が生まれるんです。逆にして言うこともできます。かっこよく作られた男性がシャカシャカした曲に合わせてかっこよくメッセージを歌う、これがいいんです(NEWSは3曲くらいくらいしか見て聴いたことがないんですが、その歌の表現方法が私にはいいなと思えたのだと思う)。 

(4)最後に

 音楽理論などの話は一切わからないのですが、こうやって音楽ライブを見ると、「楽しかった」「かっこよかった」にもう少し語る言葉を加えられるかなと思いました。でも、バレエも数を見ないと何も語れないように、音楽ライブも数を見ないと語れないような気がしました。

 冒頭の写真はミチクサ @HOMEさまのお写真をお借りしました。マントも身体の延長として、ギリシャ彫刻のようなポーズを取っている後ろ姿が素敵だと思って使用させていただきました。夕日と砂浜を空間を支配している雰囲気も素敵です。