朝焼け

朝焼けの空夕闇の月
 この部屋から見える月はとても怪しく綺麗で輝いている、観測所には様々な情報が飛び込んでくる、僕らは新聞屋だ、全宇宙の知りたい情報を主義に関係なく、買ってくれるところに流す、それがその地域、国のためになるなら、僕らはスペースアワーあらゆるところに僕らはいる、悪人でも善人でも火星人も天界人でさえ、秘密はある、それを知るたびに
喜んだり、笑ったり、そして生物の無限の可能性を感じる場面もある
 ラモン「あーあ朝4時か、カラスが泣いてらあ。」
この部屋にあるもの、パソコンに筆記用具、雑誌、明日の朝刊、本棚から溢れている資料、観葉植物、そして窓。
 ラモン「朝焼け、あーあ、夏菜子に迎えに来てもらわないと、やちまったなあ、疲れた、疲れた、手も痺れて、目もぴんぼけ、あーあ、下の階の小池さんに連絡して開けてもらって、なんだかな、給料もらってるからいいけど。」
ライン「遅くなるの?無理しないで、体が一番。」
そうは言っても今日の見出し、ムハンマドの子予知夢覚醒、長きに渡宗教戦争に終止符、イカロスの船銀河外に到着、船員500人無事に最初の民になる、その他もいろいろ、悪魔やら、異性体やらがまあとくにかくにも皆さんわがままに世の中揺らして大変なこと。
 ラモン「嫌になるね、仕事やめよう、南の島へ行ってきままに夏菜子とかなよと暮らして自給自足でなんて。」
そうして くたくたの体を起こして窓に寄りかかって、美味しくも不味くもないブラックのコーヒーを啜る、お気に入りの場所だ、カラスが泣いて、挨拶を方々に伝える、他のカラスも同じようにカアーかアーと挨拶する、半月の月がにっこりと笑い輝いて消えてゆく、暗い空が焼かれてオレンジにも黄色にも似た色に変わる、見えなかった雲がゆっくりと形を変えて姿を現す、周りの船や乗り物が光のハイウエイに光って消える、今日が始まった、朝焼けを見るたびに、妙な充実感を感じる、昨日やったこと、ダメなこと含めて、生きててよかったと思う、銀河の情報を流して売って、書いて流して売って、それもこれも、この朝焼けをみるためなら安いものだ。
 ラモン「さ、あしたもがんばろう、腹が減ったし、体は汗臭いし、ラーメン食べて銭湯行って、最高の笑顔に会うために帰りますか。」
昨日の歯痒い思いも愛しさも悲しいことも全部全部、終わり、朝焼けが全部流してくれた。
美しい世界と共に呑気に生きますか。                           

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