哲学書「武器になる哲学」から学べること。よがり論

ここ最近は哲学への関心が強まっていて、こういった読みやすい哲学書に惹かれやすい。

哲学っていうと、どうも難解で賢い人御用達のイメージが強いのだけれど、まぁ実際に難解ではあるから多くの人はチンプンカンプンになってしまうし、そもそも触れようともしない。住む世界が違うって感じ。

私自身、賢い方ではないので、選ぶのは至極わかりやすい、初心者向けや実用向けの哲学書が多い。ここに時たま挟まれる哲学論みたいなのが出てくると、一気に気分が萎んでしまうから、哲学にどっぷり浸かっているとは言えない。それでも面白いのが哲学だし、書いてあることは難解だけれど、本質はとてもシンプル。個人的には「シンプルなことを言っているんだから、難しい言い回しをしなければ良いのに。」と思っている。

せっかく哲学の本を読んでいるのなら、身につけたいし実践に活かしたい。そんなわけで今回は「武器になる哲学」の中から一つ、面白い内容をピックアップしようと思う。

最初に伝えておくと、この本は現代人に染み渡る哲学が多く、「哲学を身近に感じられるのが特徴」だと勝手に思っている。これから挙げる内容以外にも面白くて現実的な内容がたくさんあるから、また日を分けて紹介したいと思う。

今回取り上げるのは「パラノとスキゾ」という、なんとも意味深な言葉。この言葉たちは一時ブームになり、人によっては知っているかもしれないほど有名。しかし私は知らないし、これを見ている人も知らないだろう。

この二つの言葉の説明は後にして、皆さんは安定と変化のどちらを好みますか?という質問をしてから話に入りたい。胸に手を当てて考えても良いし、テキトーに選んでも良いけれど、自分はどちら側だろう?と考えてもらうと、グッと「パラノとスキゾ」が身近なものに感じられるはず。

ちなみに私は変化を好むのでスキゾタイプです。

「いきなりスキゾタイプです、とか言われても何のことやら、、」とお思いの方は正しいです。私も最初は「パラノとスキゾってなに?」と思ったし、本を読んだ後もどっちがどっちだかいまだに分からない。

パラノとスキゾとは、ものすごく分かりやすくいうと安定型が変化型か、ということで、パラノは安定、スキゾは変化に分けられる。本書ではパラノを偏執型、スキゾを分裂型と表していましたが、何のことやら分からなくなるので、身近な言葉に変えて親近感を持たせてみた。

パラノの人は画一的な思考や生活を好み、安心感の得られる肩書きが大好き。有名大卒や大手企業勤務といった、あからさまな経歴に飛びつくのがこのタイプで、ほとんどの人はこのタイプに当てはまることでしょう。

スキゾの人は型に囚われない自由な発想や行動をする人で、突飛な人と思われることも多い。フットワークが軽く、柔軟な思考をしているのが特徴。

パラノタイプの人は一つのことをやり遂げたり、これまでの実績や評価を重視しやすかったりするので、世間的に見栄えや耳障りの良いものに固執しやすい。その反面、一貫性があるので分かりやすいタイプとも言える。

反してスキゾタイプはその時々で言動が変わり、一貫性がないため信用に欠ける部分はあるものの、当人には確固たる確信のもとで意思決定をしているため、側から見れば支離滅裂であり理解できない言動をしていても、そこに一貫性は存在している。

相反する二つのタイプは、両方ともメリットデメリットがあり、どちらが良い悪いではない。ここで注目したいのは、過去に固執する価値観が危険であり、今後は柔軟性が必要だということ。

さて、なぜ私がこのパラノとスキゾを出したかと言えば、皆も薄々感じているであろう「今までの方法では現代を生きていけれない。でも、現状を変えるのは怖い。」という、見えないけれど確実に染み渡っている重苦しい空気を打開するのに最適な哲学だと思ったからだ。

そもそも時代が変わりつつある現代において「今まで通りにしていればなんとかなる。」というのは、幻想かつ濡れ手に粟のようなものだと思う。

今まではしっかり勉強し大きな会社に入り、家を手に入れ、家庭を作ることこそ人生最大の喜びであり成功であると言われていたが、現状は全くそんなことはない。

しっかり勉強しても就職できず、できたとしても中小企業であったり大手であってもブラック企業であったりして、まともな生活ができない。そもそもしっかり勉強できる環境に身を置いていないという強者もいる。

家を買うのもナンセンスだろう。金額もそうだが資産価値の上昇は見込めない。これは多くのメディアで言われているので割愛する。

家庭を築くのもなかなか厳しい。金銭面や互いの余裕のなさから家庭内不和が生まれているスピードは、ハムスターの繁殖スピードと同等だろう。

それでも皆ここを目指す。つまり良い大学、良い会社、持ち家と良い家庭。これこそが人生の幸せだと疑っていないし、ここを目指すことが人生の目的であると考えている。

しかし現状は、中卒でも金持ちになれるし、中小企業でも幸せになれる職場環境はあるし、賃貸の方が割安だし、独り身の方が気が楽である、というのが事実。

もちろん幸せの形はたくさんあるし、何を追い求めるかは自由なのだけれど、昔ながらのやり方をなぞっていても幸せにはなれない、というのは確実で、それに加えて変化の激しい現代を柔軟に生き抜く術も必要だと言える。

そこで大事なのがスキゾの考え方で、「やばくなったら逃げろ」と、この本には書かれている。つまり、良い大学、良い会社、持ち家と良い家庭を持っていても、それらがヤバそう、もしくはヤバい状況であれば一刻も早く逃げて、別の場所、方法を見つけることが大事ということだ。

良い大学にいても単位が取れなければ意味がないし、大手企業でもブラックであれば意味がないし、持ち家も築年数が古くなれば売り手が見つからないし、良い家庭と思っていても仮面家庭であることは多い。

そんな場所に幸せはあるだろうか?
そんな場所にしがみつく意味は「昔はそれで幸せだったから」という古い実績や評価が理由なんじゃないだろうか?
そんなふうに思う。

昔良かったことは受け入れるべきだろう。しかし、それで自分の首を絞めていては意味がない。

昔ながらの価値観や意見を取り入れて、定型文のような人生を歩むのは危険だ。そもそも変化の激しい現代で、同じことをずっとやったり古い考えを持って行動したりするのは逆に不幸になりたいのでは?と思わずにいられない。

これからの時代、スキゾのように柔軟に物事を考えて動ける人が勝つだろう。これは多くの人が提言している。パラノも素晴らしいが時代遅れと言わざるを得ない。もしくはパラノが活きる環境に身を置くべきだろう。

昔がこうでこうだったから今もこうでなんとかなる、というのは間違いで、それを理解しておかないと思わぬ形で人生が転落する。

転落したい人はいないだろうから、ここで一つアドバイスをするとすれば、逃げるが勝ち、ということ。無理はしない、嫌なことは避ける、自分に有利になるように動く。こういったことがこれから先必要になるだろう。

以上、「武器になる哲学 著者:山田周」を読んだ、よがり論でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?