いまこそ、面倒で非効率なお買い物を。
最近買い物してないなぁ、と思って周囲を見回してみたら、いやいや、それなりに買い物している自分に気付く。
お迎えした品々がそこかしこに目につくけれど、この充足されていない感じはなんなんだろう。
もちろん、開封してちゃんと使っている。それなりに日々の生活に便利や心地よさを提供してくれている。
なのに、この「買った」実感のなさは一体なぜなのか。
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最近の私の買い物は、ほぼamazonだ。
気になったものはすぐにamazonで調べて、機能や口コミをチェックする。
プライム会員だから早ければ同日中に届けてもらえるし、クレジットだって登録してるからいちいち取り出すこともない。
口コミや商品説明欄といった「情報」だけをみて、ボタンを押せば、魔法のように玄関前に物が置いてある。
考えてみれば、そんな買い物しか最近していない。
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タイパ、コスパ、時短…
こんな単語が絶対的に正義な世の中だけど、それらを追い求めれば追い求めるほど、豊かさが削がれていく感覚になる。
いつしか買い物にもそれを求めるようになってしまったけれど、買い物って本来はもっともっと疲れて、もっともっとワクワクするものではなかったか。
効率や楽を優先した買い物は、わたしに便利をもたらしてくれる。けれどそんな買い物によって手に入れたものたちは一様に影が薄く、それらによって満足感がらもらされることは未来永劫ないように思う。
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一つ一つ手にとって確かめて、吟味して。実際に物に触れて、その場の空気を丸ごと買って帰るような買い物がまたしたい。
足を棒にして出かけた先で、理想に思い描いていた一品に出会えた時のあの喜びをまた味わいたい。
心躍るものに出会えた買い物の帰り道、ショップの紙袋をユラユラさせながら福々しい気持ちで家路につく、あの体験をまたしたい。
秋服どうしようかな、と考えてスマホを見ていたけど、もうそれはやめた。
今年の秋服は、ちゃんとおしゃれして出掛けて、試着して。面倒で非効率な買い物を、ちゃんとしたいと思う。
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