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東京迷子(7) クロネコヤマトのひみつ基地(羽田クロノゲート)

 羽田にはクロネコヤマトのひみつ基地もある。ここも無料で見学できてしまうのだ。その名も羽田クロノゲート。すんごいデカい建物だ。

 ※ここも見学するにはあらかじめの予約が必要。ご注意を。

 見学当日、ちょっと早く着いてしまったので、寒いことだし受付棟で待たせてもらった。ロビーにはウォークスルー車の1号車が展示されている。この車、助手席はついてなくって、ドライバーは運転席の左側を通って、車を降りることなく荷台に移動することができる。

 見学者として集まっていたのはカップル、家族連れ、友達同士がほとんど。時間が来て、緑のジャケット、ベージュのスカート、黄色のスカーフというクロネコカラーのお姉さんがふたり、見学コースを案内してくれた。見学者には入構証(ゲートを通るためのパスとロッカーの鍵付き)が配布される。1番ゲット。パスをゲートにタッチして中へ。

 これから、見学者は5つのポイントをめぐる旅をする。順にご紹介。

①100THANKS

 ヤマト運輸は、東京オリンピックの前年、2019年に創業100年を迎える。その始まりから、ちょっと先の未来まで、100年の間に起こったできごとを、大きな年表で振り返るコーナー。年表にはその出来事のこぼれ話が書かれたキューブが埋め込まれていて、それを取り外し見ることもできる。

 1919年、創業時には社名が「大和運輸株式会社」だったんだけど、ダイワと読み間違えられることがあまりに多かったため、1982年に「ヤマト運輸株式会社」に社名を変更したことや、あのクロネコのマークが、実は広報担当の人のお子さんが書いたものをもとにして完成されたものであることなど、ちょっと突っ込んだクロネコヤマトの歴史をこの年表で知ることができる。

 この展示を見終わると、荷物を預けるロッカーやトイレがある。トイレはこれ以降ないので、ここで済ませておこう。重い荷物をロッカーに預け、次は見学者ホールへ。

②見学者ホール

 中に入ると、木でできたベンチがたくさん並んでいて、前方には大きな画面。見学者はここでヤマトの歴史や取り組みを映像で知ることができる。ちなみに、このベンチ、日本も含む世界各国から集めた木材で作られていて、それぞれどこのものか示したプレートが付いている。

 ベンチに落ち着くと、クロネコレディからまずクロノゲートの名前の由来について説明があった。ギリシャ神話の時の神クロノスと、玄関口を示すゲートウェイが合わさった名前だそう。わたしは窓際に陣取ったのだが、そこからはトラックが100台以上停められる駐車場からひっきりなしにトラックが出て行く様が見て取れた。

③見学者コリドー

 ついにこのクロノゲートの心臓部、物流棟へ。運ばれる荷物がどのように仕分けされるのかこの通路から見ることができる。トラックからおろされた荷物は、コンテナのまま仕分けラインまで運ばれ、人の手でコンベアへ。ライン上にあるスキャナーが配送伝票のバーコードを読みとり、行き先別に仕分けされるのだけど、このラインでメインの役割をするクロスベルトソーターっちゅうのがすんごいのよ。

 これはねえ、とても文章だけでは伝えられないんだけど、コンベアに使われているセルというシステムがすごい。ベルトコンベアっていうと最初から最後まで1本のベルトで流れてるってのを連想しがちだけど、ここのコンベアのベルトはセルと呼ばれるプレートが無数に並んでいる形。

 まあ、ルートはまっすぐではないし、コーナリングのためにこの構造なのかなと思ったらそうじゃない。なんとこのセルひとつひとつがキャタピラのように動くようにできていて、荷物が他のベルトから合流して載るときの衝撃を抑えるためにちょっと動いたりとか、コーナリングで荷物が落下するのを防ぐためにちょっと動いたり、荷物の行き先別に設置されているシューター(滑り台のようなもの)に荷物を送り出すのに動いたりする。細やかな仕事ぶりなのだ。

 このコンベアが、1時間に48000個の荷物を仕分けるのだから驚きだ。

 コリドーの途中には、映像で仕組みを学べるコーナーがあって、行程の中で2度、見学者はこのモニターの前に集合し、紹介ビデオを見る。ここでは、仕分けラインのおおまかな仕組みと、物流の付加価値について学ぶことができる。驚いたのがこの付加価値の部分。我々が今見ている仕分けラインは、この物流棟の1、2階なのだが、見ることのできない3階以上に、驚きの工場がある。

 なんと、壊れた電化製品の修理やら、医療器具の洗浄・消毒やら、印刷物の製造やら、通関までできるっていうじゃないの。

 ええっ?クロネコそんなことまですんの?

と思うけど、これは物流と組み合わせることにより利便性がアップするサービス。例えば、電化製品の修理を例にあげれば、家電が壊れたとき、今まではその家電メーカーに連絡して、ヤマトなどの宅配便を使って指定工場に送り、修理が済んだらまた宅配便を使って送り返してもらうという形だった。この方法だと、

自宅→自宅近くの宅配便営業所→工場近くの宅配便営業所→工場→工場近くの宅配便営業所→自宅近くの宅配便営業所→自宅

という経路をたどることになる。これを、このクロノゲートで修理をそのままできるようになったことで

自宅→自宅近くのクロネコ→クロノゲート→自宅近くのクロネコ→自宅

というように、手間と時間を短縮できるのだ。だからクロノゲートには、修理専門のクロネコスタッフがいるのである。全然知らなかった。「便利で速いクロネコ」はこうやって発展を遂げてきたのか。

④集中管理室

 見学者コリドーを抜けて、次は事務棟へ入る。ここで見学できるのは集中管理室。仕分けラインのすべての情報をたくさんのモニターで監視している。スタッフの人は2~3人態勢で、仕分けラインのほうでトラブルが起きていないか、どのくらいの荷が流れているのかきちんと見張っている。わたしなら寝てしまうな。(コラ)

 物流棟が心臓なら、この事務棟はクロノゲートの頭脳である。

⑤展示ホール

 最後に、展示ホール。天井にあるプロジェクターが、床に映像を映し出す。見学者はそこをぐるりと取り囲むベンチに座り、物流が生み出す社会的な価値についての映像を観る。

 それが終わると、お土産プレゼントの時間。クロノゲートで実際に導入されている荷造りのためのシステムを体験しながら、クロネコヤマトのノベルティをGET。もらったのはこれ。

 メモとマグ。あと消しゴム。何が当たるかはそのシステム次第。他には何があるのかな?

 これで全行程は終了。見ごたえは充分。あのコンベアを見るだけでもテンション上がるのでおすすめしたい。

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