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京都ひとり旅。

私が京都出身だと言うと皆さん必ず、「いいですね~」と言ってくださる。イケズな私が、じゃ、どこがいいのか尋ねると「うっ」と言葉に詰まる人が多いのは、きっと「よく知らないけど、なんとなくいい感じ。たぶん」なイメージが先行しているのだろう。

以前、三千院に取材で行ったとき、カメラマンが忘れた機材を取りに駐車場に戻ったので、一人で庭を散策していたら、亀井静香似の男性に声をかけられた。

静香「一人旅、・・・ですか?」
わし「あ、いえ・・・」。(事の次第を説明するのもじゃまくさいし)
静香「そうですか・・・、訳あり・・ですね」
わし「はあ? (おもしろくなってきたので)。まあ、そうですかね」
静香「あ、いいんですよ、話したくないこともあるでしょう」
わし 苦笑
静香「元気出してくださいね」
わし「ありがとうございます」

きっと静香は、一人で三千院に来る女は恋に疲れているはず、いや、もっといえば恋に疲れていてほしいのだろう。まあ、私も初めて札幌に行けば、とりあえず時計台は見たいし、シンガポールならマーライオンを見てみたい、っていうか見た(笑)。
京都ですごく旨いイタリアンやホルモンやらお好み焼きがあっても、やっぱりそれがテープの音でも琴の音が流れた緋毛氈の上で湯豆腐食べたい気持ちはわからなくもない。

私は静香にとてもいいことをしたと思った。


ブログ「パーラー永浜商店」より加筆転載。

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