見出し画像

私が仕事を覚えたいと思ったきっかけ

基本的には怠け者

私は勉強が苦手だった。
勉強をする意味も分からない、人生が豊かになる想像もできない、そんな10代だった。幼いころから考える事は好きだったのかもしれない。
何故、生まれてきたのか、生きていかなければならないのか、そんなことをよく考えていた。
というよりも、諦めていたのかも知れない。
周りの人と比較をして、恵まれていないということを思い込み、自分の可能性は所詮知れていると考えていた。
夢といえば、小さくても家を持ち、家族5人程度で毎日を楽しく過ごすことが大きなゴールと考えていた。
そのためには、体を使い金を稼ぐことは当然のことだと考えていたので、建設業に入ったことは当然の事だった。
若い頃は、考えるのが好きという感覚ではなく、どうしても考え込んでしまうというのが悩みだったと思う。考えたとしても何も良いイメージが浮かばない現実から逃げたいと思う事がほとんどだったからだ。
無駄に考える事はしたくない、最低限出来る事をしてそつなく生きる事をしていきたいという人間だった。

仕事仲間

私の仕事をする意味は、お金を稼ぐこと。
それが唯一の目的だった。
お金を稼ぐために必要な事だけをしたいと考えていた。
必要な免許は全て取得した。
給与の上がる制度は、利用できるものは利用した。
嫌いな上司にも頭を下げる事を覚え、ストレス発散はパチンコだった。
パチンコ雑誌を買って、攻略法を覚えて、確率の計算などもして出来るだけ勝率を上げる事を考えるのが結構楽しかった。
その頃はパチンコ貯金などもしていて、30歳ころまでパチンコにはまっていたが、仕事に夢中になるにつれてパチンコに行くことも無くなっていった。もう20年ほどパチンコには行っていないし、これからも行くことは無いだろう。生涯成績はプラスで終えたと思う。

仕事に夢中になるきっかけは、会社の危機だった。
私が勤めていた会社が年々業績が悪くなり、給与の遅延が発生し始めた頃に急に仲間意識が芽生えた。
本当は急ではないと思う。それまで一人で生きてきたつもりであったが、心の底では私を採用してくれた会社や先輩や上司、仲間に助けられて生きているのは自覚していた。ただ、その事実から目を背けていただけだった。
面倒な事には巻き込まれたくない、ただでさえ自分が生きている意味も良くわからない中、人のことを考える余裕などなかった。
会社の存続が危ぶまれる中、頭をよぎったのがこの会社をどうしたら維持できるのか。私に出来る事が何かあるのだろうか。
仕事が終わった後、みんなで酒を飲んで称えあい、慰めあった仲間たちに何か貢献出来る事が無いだろうか、と考え始めた時に仕事に向き合う事を始められる様になった。

私の武器

私はパソコンが好きだった。
得意ではなく好きだった。
何かソフトを使用して作業をするということではなく、プログラムを作ったり業務改善をすることに利用することで満足感を得ていた。
世の中は急速にIT化が進み、アナログだった機器は殆どのものがデジタル化されていった。
システムはとても合理的で論理的だ。
間違ったなら間違ったなりに、正しければ正しく実行され、24時間延々と働き続ける事は私に大きく影響を与え、論理的思考を養っていってくれた。
様々な機器が世の中に排出されたとしても、基本的な考え方があれば適合することができる「人に理解されるためにシステムがある」そのことを理解すると、パソコンは難しいという人との差が開き始める実感があった。

そんなこともあり、電気工事業の中でもシステム系が強いということで需要があったのだと思う。仕事は次々に舞い込むようになった。
仕事の内容はセキュリティ。
ただ、セキュリティでなくても何だって基本的な考えがあれば少しの時間で適合出来るという自信があり、そのことが私の武器になった。

電気工事という仕事

電気工事の仕事は、端末と端末の間に配線がある。
基本的にはそれだけだ。
端末は数えきれないほどあり、配線も様々な手法があるけれど、基本的にはどれも同じ。
電気工事の仕事のほとんどを占めるのが配線をどのようにするのかであり、端末の接続や設定は、配線が終わった後でないとすることが出来ない。
私は、この配線をする人達、電気工事職人を尊敬している。
配線をする場合、建物が関係するので様々な業種の方との連携が必要になる。その人達とスケジュールの打合せをして、決められた納期内にできるだけ綺麗な仕上がりを意識して、配線をしていくことは私にとっては未だに凄い仕事をする人達だと思っている。
ただ、世の中の評価はそうではない。
端末を設置したり、配線をすることは当然であり、それ以前のシステムの設計や、設置後の設定にスポットライトがあたる。
それどころか、設計や設定にミスがあった場合には、工事職人の手を煩わせることになるが、手直しは当然であり、それが評価としてされることは数少ないし、最終的には設計や設定をする人たちの手柄になってしまう。
そのことに、工事職人は従うしかないし納得をするしかない。

仕事とは役割分担

私が今のセキュリティの仕事を覚えたのは実質1年ほど。
一応、端末の取付や配線、システムの設計や設定が出来る。
一応と記述したのは、私の電気工事の技術はプロでは無いと言い切ることが出来るからだ。
私のレベルだとその作業だけではお金を頂くことが出来ないと思っている。
では何故仕事を依頼してくれる人が増えていったのか?
それは仲間がいるからだ。
全体的な流れを理解して、頼るべき人に頼る事をしていれば必ず仕事は収めることが出来る。
私のすべきことは、なぜそのシステムを導入することになったのか、お客さんが何を求めているのかを集中して考える事だけだ。
所詮、自分の出来る事なんて限られている。
それはある意味「諦め」であり、それが大切な「自覚」だと考えている。
私のすべきことと、仲間に頼る事を切り分けて考える事が出来れば、仕事を覚える事はそんなに難しい事ではない、というのが私の持論だ。

仕事とは何か

完全な答えなどないが、私は仕事の内容なんて何だって良いと考えている。
要は誰と何をするか?
そのことに集中すべきことなんだと考えている。
目標を定めて、計画を立てて今に集中する。
そのことの連続が、人に認めてもらう事ができて連続性を生み出すことができる。
単発の仕事は仕事と呼べない。
例え単発であったとしても、その先に繋がることを意識していなければ、忙しい毎日の繰り返しになってしまうだけだ。
仕事は人に喜ばれながら発展していかなくてはならない。
働く人も、お客さんも、社会もすべて良くなることに繋がらなければ仕事と呼ぶことはできない。
私は、仲間と共にそれを実現していきたいと考えている。

そう思えた事が、私の仕事を覚えようと思ったきっかけである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?