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つよくておもろい女のひとを、当たり前のようにたくさん観たい

これは、ただのグチ。

きのう放送の歌ネタ王決定戦を観た。お笑いの賞レースが好きなので、楽しみにしていた。

冒頭、映された観覧席とリモート観覧の画面にいたのは、全員若い女性だった。ファイナリストの芸人さん、審査員、司会者は全員男性。

芸人さんたちのネタを純粋に楽しみたいのに、モヤモヤしてしまう。表舞台に立つのは男性で、女性は歓声をあげたりフォロワー的な役割をするもの、みたいな、そういうイメージ、観たくない。

こんなときに決まって思い出すのは、小学校6年生のころのこと。1年から6年まで、各学年から2〜3人が集まる「縦割り班」というのを組み、さまざまな課外活動を行う、という時間があった。

学期のはじめごろ、縦割り班のメンバーが発表され、6年生だけが全員図書室に集められた。そこで班長と副班長を決めるようにと言われた。

縦割り班の各学年ごとのメンバーは、ほとんどが男女のペアだった。わたしはとおるくんと言う、少しおとなしい男の子といっしょだった。

わたしは時々クラス委員になったりしていて、比較的社交性やリーダーシップもある方だったと思う。とおるくんとの話し合いは、自然な流れでわたしが班長、とおるくんが副班長をすることになった。

その時間の最後に、各班の班長になった人は、手を挙げるようにと言われた。たしか30班くらいある中で、手を挙げた女子はわたしひとりだった。それ以外はすべて、男子が手を挙げていたのだ。

わたしはシンプルにびっくりしてしまって、「え、なんでなんで?○○ちゃんは?やらないの?」とか、いろいろ言ったけど、わたしの周りの女の子たちは、ぎこちない笑みを返すだけ。だんだん、あ、リーダーシップが必要な役割は、男子がやる方がいい、女子はそういうのをやりたがらない方がいい、とみんなは感じているらしいと察した。途端に「男なのに1人だけ班長じゃない」とおるくんに、恥をかかせているような気がして、申し訳なくなった。もし気まずそうにしていたら気まずすぎる、と思って、とおるくんの顔をまともに見ることが出来なかったのだが、そういう感受性がとぼしかったらいいな、何も気付いてなかったらいいなと、今も祈っている。

そのうち、高校生になった。定期的に行われていた生徒会選挙で、あるとき一学年上の女の先輩が立候補した。髪はゆるいウェーブがかかった背中まであるロングで、背は低めでグラマラスな体型。濃いメイクに、短いスカート。真面目な校風のわたしの高校の中では目立つ、いわゆるギャルっぽい人だった。

全校生徒の前で行われた選挙演説。その先輩の演説は、他のどの候補者よりも圧倒的におもしろかった。わたしは手を叩いて笑いながら、とても興奮したのを覚えている。

女でありながら、こんな田舎の高校で、人前で目立って、自分のキャラクターをさらけ出した上で、しっかり笑いまで取っている。「おもしろい人」として、男女どちらからもちゃんと評価されている女性に、私は出会ったことがなかった。ほんとうにカッコよかった。迷わずその先輩に投票したけれど、残念ながら落選してしまった。

そのギャルの先輩の名前も覚えていないけれど、ふさふさとした、真っ黒で重たそうなまつ毛が、いまも印象に残っている。


この前テレビを観ていたら、男女コンビの蛙亭が出てきた。好きなコンビだ。女性の岩倉ちゃんの方に、司会者が話を振った。

「(岩倉ちゃんと仲良しだと言う、別の男性芸人を指差しながら)ここ、付き合うとかそうゆうことになんないの?」

もし、岩倉ちゃんが女性じゃなかったら、もっと別の部分に光を当ててもらえたんじゃなかろうかと思うと、ちょっと悔しかった。

あーあ。はやく、「女」芸人なんて言葉がなくなって、おもしろい芸人さんたちの半分くらいが女性なのが、当たり前にならないかなぁ。女性の芸人さんの冠番組もたくさんあって、男も女もみんな、女の芸人さんの話に興味津々で、ちゃんと笑うの。W-1(女芸人限定の賞レース)は、もう必要なくなるの。

「紅一点」とか「女性ならではの視点」とか、女であることを特別扱いされず、恋愛やルックスの話ばかり振られるわけでもない。

いま、男の芸人さんたちが当たり前にしているように、好きなものとか、特技とか、エピソードトークとか、もっともっとするの。

わたしは、自分がおもろいと思うことを考えて実行する、強い女たちに圧倒されたい。




すっっっっっごいうれしい!