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月光再演早口長文レポ

会場に足を踏み入れた途端、息を飲んだ。水彩絵の具で描いたような綺麗な藍色の空と、桟橋と、それから煌々と輝く月光、階段。街灯はひとつも灯っていなかった。辺りを見渡すとたくさんの人がいて、ヨルシカの後方彼氏面私は思わず「ヨルシカ、すごい」と呟いてしまう。ライブ前特有の、みんなが胸を高鳴らせ今から浴びるであろう熱気と音楽に想いを馳せるこの時間が好きだ。

-海底にて-
僕らは深い海の底にいる。すりガラスみたいな、温かくて冷たいn-bunaさんの声。思わず緊張して呼吸が止まる。始まった、始まってしまった。言葉の砂漠、表現の波、n-bunaさんの口からこぼれ落ちた綺麗なその言葉たちをそのまま、声を出さずに口の中で呟いた。あまりにも声に出して読みたい日本語。その少し掠れた声を、感情が籠って大きくなったその声を、神経という神経を聴覚に集中させて受け止める。僕らは鯨だ。なんで鯨なんだろう。言葉のおきあみ、想像力という名の海。老人と海が脳裏を掠める。n-bunaさんが大きめに息を吸う。この呼吸音を目覚ましかなんかにして販売してくれないだろうか。だめだ、心地良すぎてその音声を聞きたいがために50度寝はしてしまう。いつだって、欠けてしまった何かを探している。3月31日東京ガーデンシアター、ここで私は現実に引き戻される、というか、「ヨルシカが今から東京ガーデンシアターでライブをする」という事実にようやく気がつく。
ヨルシカです。 ヨルシカです。ヨルシカです。その言葉が何度も頭に響いた途端、全身がアンプになって私の心臓がありえんほどドクドクいいはじめた。恋か?恋だよ。

夕凪、某、花惑い
セトリは知っていた。だから、最初の曲が夕凪だってことはとっくにしっていて、なのに、ものすごく緊張した。いつものイントロと違う、ゆっくりとした、だけれど力強い入りに、なんの曲だろう、と思い、その後すぐに夕凪だ、と思い出す。思い出して、また心音が加速する。ドッドッドッドッドッ。「僕らを貶す奴らを殺したい⬅️いいよ!!!と言いそうになった」みたいなこと思うんだろうなあ〜とか少し予想してたのに全然ちがくてびっくりした。全然いいよ!とか言えない。そんな軽々しく殺しを許可していいレベルの迫力じゃない。既に億単位で人間を殺めてそうな迫力を感じた。suisさんのド迫力歌声が、ぴったり息の揃った楽器陣に乗っかって激ヤバ迫力を生み出す。MV、エルマの日記の字体で歌詞が流れていた。口に出してもう1回、八月某日を思い出して、の「くち」「いっ」と「がつ」「おもい」の音が全部揃う瞬間思わずハチャメチャに強い力で拳を握ってしまった。君ならきっとわかってくれる、が酷く投げやりに聞こえて辛かった。酷く投げやりだけれどそれでも「わかってくれる」って信じていられるのがエルマからエイミーへの感情全てなんだろうな。てかあの、ここでIQを2にしますが、楽器陣指と腕もしかして50本ずつあります?すごすぎる。


八月、某、月明かり
心臓が煩かった⬅️私のこと⁉️⁉️⁉️⁉️こちらはエイミーの曲。半音低い?めちゃくちゃカッコイイんですけど〜(私の心の中のギャルが手を叩く音)MVには街並みを自転車で飛んで回っているような映像が映っていた。想い出に「なんて」してやるもんか、の「なんて」で立ち上がりそうになった。あまりにも音がピッタリ揃いすぎている、時間も空気も温度もヨルシカに持っていかれて全てが一時停止したみたいだった。ライブに行く度、吹奏楽部にちゃんと行ってた頃顧問によく言われた「ちゃんと音は揃えてね」の重要性を実感する。幽霊部員になる前の私に教えてあげたい。それ本当に大切だよ。それまでびかびか上下左右に輝いてたライトが「人生、27で」の瞬間一斉に止まってただステージが白く照らされたのをみて、全てをかなぐり捨てて思考停止してやけになっているみたいだなと思った。楽器だけになった瞬間に楽器の綺麗さを再確認する。すごいなあ、そう思ったのも束の間でついに来てしまう。身を構える。欺瞞と同じだエルマ!キター!!!!!こんなに力強い「エルマ!」の叫び あああ 感情がこもり過ぎててしんどい しんどいよ  その直後の「最低だ 最低だ 愛おしくて仕方がないわ」がエルマ!と打って変わってどうしようもなく優しくて、いや、優しいんだけれど、埋められない寂寥感も孕んでいて、最低とかいうどう足掻いたってマイナスの言葉に対して乗せていい優しさじゃないなと思った。エイミーの中で色々な感情が沢山せめぎ合って同居してたんだろうな。最後、今も、愛も、といらないもの連呼フレーズが来た時に泣きそうになった。本当にひとつひとつ、強い力で跳ね除けるみたいな歌い方をしていて、それがやけに意固地に聴こえて、嘘なんだろうな、と思った、ここら辺はもう考察の域に入ってしまうのでわからないけれど、連呼されてたそのどれもがエイミーにとって大切なものだったんじゃないかな。


-関町にて-
詰まらないものが嫌いだった。だから僕自身も嫌いだ。再び耳に流れ込む心地よいn-bunaさんの声に、身体が固まる。嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、このフレーズが頭の中でエコーする。ヨルシカライブ特有のリズム感のある語り。n-bunaさん、ラッパーとして生きることを考えたこととかないのかな、リズムに乗せて言葉を連ねるのが上手すぎる。なに、かが、足りない。駅前のロータリー茜色。君の弾くピアノが鳴った。鼓膜を撫でる心地の良い綺麗な日本語とそのリズムに惚れ惚れしていると、あの言葉が耳に飛び込んできて急に意識と血の気がサーと引く音がした。もしも僕の寿命が残り1年だったなら。唐突にチラつく死に驚く。人生の価値は終わり方、何回も何回も何回も聴いた藍二乗にもあるそのワンフレーズ。この一年だ。この一年が僕の一生だ。これをn-bunaさんの声で聞けた喜びとそのフレーズの寂しさで心を掻き乱される。作品の題は決めてある。「だから僕は音楽を辞めた」ここで鳥肌ゾゾゾタウン。進撃の巨人かなんかですか?凄い。富士見通りは商店街、駅前のロータリー茜色。ありありと情景を思い浮かばせる言葉が連ねられて、そして最後、「君の弾くピアノが鳴った」藍二乗が始まる。

藍二乗
カラオケで歌う時最初は低いのにサビが高くて自分の声帯に謝りながら声カッスカスにして歌う曲No.1藍二乗が始まった。そんな音域バケモノソングを、低音は芯があって高音は抜けるような透明感で歌うsuisさん、ほんとうにすごい。suisさん歌うますぎるだろーー!!MVにはフィルムの枠みたいなのがついていて、''追憶を見ている''感覚になった。リズムを刻むドラムの音が本当に心地よかった。藍二乗は前世ライブでも披露してくれていたけれど、あの時ともまた違ったなと思う。ひとつの曲でたくさんの顔を見せられるのが本当にすごい。藍色の照明がもやもやと広がっていくのがインクを紙に零したときの滲みみたいで、照明が広がる度に見上げて見とれてしまった。エルマ、君なんだよ⬅️声が優しすぎやしないか⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️惚れてまうやろ……………………………てか声が綺麗すぎるやろ…………。君だけが僕の音楽なんだ、その愛に満ちた少し寂しい声を噛み締める。人生の価値は終わり方だろうから。胸がきゅっと締まる。ふたりがずっと幸せでいられたらいいのに。サビの高音が綺麗で雲が無い空みたいだなと思った。「ただ夜を泳ぐように」この歌詞を聴けるのをずっと待っていたし、けれどいざ最後のタメが来るとまだ藍二乗を聴いていたくてその歌詞が来ないで欲しい、まだ、もうすこし、などと思ってしまった。結局その歌詞を聴いた途端聴けてよかった、本当に嬉しい、寂しい、と色んな感情が入り乱れて大変だった。私の情緒ったら富士急のジェットコースター……

神様のダンス
あのねーー、この曲は本当に照明が𝙶𝙾𝙳!色のない何かが咲いた、からしばらくは白色透明、暮れない夕に茜追いついて、でステージが茜色に染まり、そしてサビラストの「月明かりを探すのだ」で藍色照明をバックにエルマの格好して歌うsuisさんに月明かりみたいな黄色のスポットライトが指す。そこでsuisさんが…suisさんが…ライトがさす方向を見上げていて………………………もう大興奮だよね。マジエキサイティング。あそこ全観客が心の中でスタンディングオベーションとヘドバンしたんじゃないかな。私はしてた。それからMVも本当に良くて。夕凪と同じくエルマの日記の字が流れていたんだけれど、suisさんの寂しく儚い声がのせられた「行かないで」「消えないで」の文字が滲んでいて、涙を零したんだろうな、その5文字が心の奥底にある弱い本心なんだろうな、と思ってこちらまで泣きそうになった。そしてサビの悲痛な叫び、「世界は僕らのものだ」で突然文字が大きく乱雑に表示される。その殴り書きされたみたいな文字、suisさんの叫び、そしてn-bunaさんのハモリ。その圧倒的''良''が私をボコスカボコスカ殴ってきてあまりの感動に頭がくらくらした。ここハモるのやばない?え?やばない?もう世界も地球も宇宙も全部ふたりのものだよ、誰がなんと言おうとふたりのものだよ。私が神だったら今すぐ地球をヨルシカ星かなんかに改名できたのに…とかぼうっと考えていた。はいきたピアノソローーー!!!!!!やばい やばい やばい はっちゃん指何本ある?もしかしてはっちゃんって8ちゃん?指8本?指版タコかな?とか意味のわからないことをぐるぐるぐるぐる考えてたら急に肘でダーン!って引いてめちゃくちゃ面白かった。アウトロもピアノアレンジありましたね…個人的にヨルシカのピアノ本当に好きだからすごく嬉しかった。

夜紛い
夜紛いのギター、ずっっっっっっっと生で聴きたかったーー!!!うれC超えまくってうれZ!!!!!!夜紛いは2019の現行月光の時に1番良かったな〜とずっと心に残っている曲だったから今回も本当に楽しみだった。いや〜〜〜やっぱり最高でしたね。神様のダンスからの夜紛い、バイブスブチアゲすぎる。限界突破してしまう。ライブハーーウスって歌ってて良かった。2年前はこの歌詞をライブハウスで歌っていたので、ここで2人が顔を見合わせて笑っていたのだけれど今回顔を見合わせていなくて少しだけ悲しくなっていたりした。ライブハウスって大きさじゃないもんね…東京バカデカシアターだもんね…サビで重なる2人の声に心臓をぎゅっと捕まれてしまった、「人生とはマシンガン」「消したい」をハモられるとこっちの心臓が持たないのでやめてほしい。マシンガンで撃ち抜かれて蜂の巣どころか粉になってしまいました。ああ私、後生抱えて生きてくような思い出を植え付けられてしまったんだろうなあ。

-雨の町について-
六月の梅雨晴れが、から始まるこのpoetry。脳裏には一瞬で雨曲、雨とカプチーノ、六月は雨上がりの街を書く、雨晴るる、が思い浮かぶ。朝焼けになりたい。それをうつす鏡になりたい。n-bunaさんの紡ぐ言葉はどうしてこうも綺麗なんだろうなあ、綺麗な言葉辞典があったら間違いなく私は「n-bunaの紡ぐ言葉」とかいう項目を作ってしまうなあ、などとぼんやり考える。上からカラフルな窓枠が降りてくる。ヴィスビーかどこかの街並みだろうか。
顔を上げると僕は、雨の滴るカフェテラスにいる。
その言葉を聞いた瞬間、雨とカプチーノが始まった。


雨とカプチーノ
雨が降っていた。キラキラと光るような雨が。すごい…綺麗…とか思う暇もなく、あの!あの!イントロが!!!良すぎる!!!!!!なんなんだ、なんなんだ本当に!!!!MVも良すぎる!!!!!エイミーがひたすらカプチーノを飲んだり詩を書いたりしていて、歌詞は手紙みたいに紙の枠に沿って流れ出てくる。テテテテテテテテテテテレテッテー⬅️レポ書いているだけでこのイントロ頭に流れ出してもうだめだった。本当に好きだった、雨とカプチーノ。ギターのアレンジも踊るようなベースの音色もどこを切り取っても最高だった。拙者suisさんが歌う雨とカプチーノのの「カプチーノ『みたいな』色してる」の『みたいな』の言い方、「『夏』泳いだ花の白さ」の『夏』の ぬぁ〜⤴︎つ って感じの歌い方大好き侍と申すが、生歌もそこふたつ本当に良かったでござる。意識を失いかけたで候う。どうか、どうか、の高音が本当に綺麗で、そしてどうしようもなく切に歌うもんだから思わず泣きかけた。どうか幸せになって欲しい。もう月光再演見てるときエイミーとエルマの幸せばっかり願ってた。ずっとおかしいんだ⬅️良すぎて私の情緒の方がおかしくなるが⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️などと若干キレながら聴いていた、ヨルシカは人の命をなんだと思っているんだろう。

六月は雨上がりの街を書く
来ました最高イントロ!この曲さ〜〜〜〜〜音がめちゃくちゃ多くて!すごく好き!始まった瞬間私の中のゼロ歳生まれたて人格がギャンギャン泣いてた。まだ雨は降り続けていて、重厚だけれどしっとりとした六月の曲調も相まって空間の湿度が完全に高まっていた。ちょっと六月好きな曲すぎて何も言葉がまとまらない、思い出すだけであの音の粒が綺麗なピアノが頭に流れ込む。本当に良かったなあ、個人的に今回の復刻月光はピアノが本当によかった。勿論ほかの音も全て良いのだけれど、やっぱりエルマがピアノを弾いていたからかな、他のアルバムの曲よりピアノが前面に出ている気がして、そのピアノの音を生でぶつけられるとどうにもこうにも出来ない興奮が全身を駆け巡ってしまった。ちなみにここまでイントロの話しかしてない。本当に六月のイントロが好き。窓映る街の群青、とsuisさんが歌い始めて本日何度目かわからない息を呑んだ。圧倒的に声が透き通っている。儚げなsuisさんの声に聴き惚れているとすぐにサビに入ってしまった。体感0.5秒。ゆっくりソングなのに…。AメロBメロの優しい歌い方とは打って変わって力強い「くだらないよ」に驚く。AメロBメロは屋内で雨の滴る街を眺めているようだったのに対してサビは強めの雨に打たれているみたいだった。あの街で待ってて⬅️あんな声で歌われたら5兆年は待てるわ………………。今の暮らしはi²、で藍二乗を思い出し、藍二乗の夏の空みたいな力強い歌い方と六月の歌い方が全然違うことを再認識し、すげ〜〜〜〜〜〜などと思っていたらまたサビの、藍二乗よりもマイナス感情多めな力強さに驚かされる。suisさんって声帯何個あるの?もしかして気づかない間に人変わってる?いや〜〜〜本当によかった。よかった。そうだ、思い出したから追記みたいになってしまうけれど書き足します。この曲、ドラムの安定感がずっしりしすぎていた。圧倒的に安定して土台としての強度バツグンなのに音が軽やかだった。

雨晴るる
雨が止んだ。止んで、客席から見て左上に目が眩むような太陽が輝いていた。軽快なイントロが流れ出して、思わず足を踏み出しそうになった。さっきまでのしっとりした湿度の高い空間が晴れやかに、爽やかになって、本当に雨が晴れたみたいだった。MVはエルマの日記の文が流れていて、けれど他の曲と違って下に文字が反射していた。きっとあれは雨が上がったあと太陽に照らされて街並みをきらきらと反射している、水溜まりなんだろうな。suisさんも、さっきまでの六月と比べてマイナス感情が奥の方に押し込まれて雨上がりの至る所がキラキラした街をスキップ混じりに歩いているような歌い方をしていた。けれどやっぱり胸の奥に抱える呪いみたいな苦しさは絶対的に残っていて、表現力という言葉を擬人化したらsuisさんが出てきそうだなと思った。やっぱりライブ中何億回も思ったんだけれど、ドラムの安定感が凄い。リズムを確実に刻んで、音階という音階は無いはずなのに曲ごとによって全く違う音色を見せている。ラスサビ前の間奏、オシャレとかいう陳腐な言葉で表したくなくて何度もいい表し方を考えたけれどやっぱりオシャレという言葉そのもので しかもお洒落のほう うーーこの気持ちを表すだけの語彙力を持ち合わせていないのがつらい。この曲、唱え人生は君だ、ずっと君だ、全部君だ、藍の色だ、がラスサビだけ「愛」の色 になるんだけれど、MVにちゃんと文字が流れているのに関わらずライブで聴いた時は無意識に全ての藍を愛で捉えてしまった。あのときのsuisさんにはエルマが降りていた。

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