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2020/11/10 『聖剣士さまの魔剣ちゃん~』を読んで ~HJ文庫公式レビュアープログラム~

HJ文庫の公式レビュアープログラムに応募した。
応募は無事に通過することができ、9月からしばらくの間、月に1〜2冊HJ文庫のラノベ新刊を送ってもらいレビューという形で感想を書くことになった。

プログラム4冊目として『聖剣士さまの魔剣ちゃん 1~孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います~』を読んだ。タイトルが長い。

レビューを書き始める前に注意事項を挙げる。
私はネタバレは最小限に抑えたつもりだが、どこまでをネタバレとするかは人によって違うため読み手によってはネタバレだと思ってしまうところがあるかもしれない。
まだ本書を読んでいない方は、これについて理解してもらったうえで以降のレビューを読んでほしい。


◆以下レビュー◆

かなり好感の持てるお話だった。

かなり大まかに言ってしまえばいわゆる追放モノと呼ばれるものなのだろう。実際に主人公は魔剣、つまりは呪われた武器のようなものを手にしてしまったばかりに国を追い出される身となってしまい、以降は監視され続けることになる。しかしこの追放の過程も他の追放モノの物語で感じてしまうような理不尽さや暴力性、かなりざっくり言うといじめられているような惨めな雰囲気ではなく、かなり前向きな形で描かれているのがユニークで面白かった。主人公がこの追放過程に納得感を示していて復讐心などを一才感じさせないのがとても良い。楽観的で明るいんだけど決してくどい印象はなくて、彼のそんな性格が読んでいて非常に嬉しい。

一旦個人的な話を挟んでしまうのを許してほしいのだが、正直私は追放モノに見受けられるあの手の復讐心やルサンチマンの類のものが少々苦手である。なんというか、その手の生き方をしている人をどうしても好きにはなれなくて、それはもちろんフィクションにおけるキャラクターにおいても然りである。キャラクターを好きになれないライトノベルはそのまま書籍全体を好きになれないことが多く、逆説的ではあるがこれのせいで追放モノのあの手の描写を苦手としている。

この本にはそれを全く感じないのが本当に嬉しかった。読んでいるときにキャラクターの心情に不快な引っかかりを覚えることがなく、おかげで素直に楽しむことができたし主人公も好きになることができた。主人公、表面上だけじゃなくてかなり熱心に一人の人と寄り添おうとしてるのが良かったな。ゆっくりゆっくりの関係発展が愛おしい。

この本は最初から最後までギャグテイストのノリが強い。「あっ、ここそういう解決するんだ」となってしまうような呆気ないものもあって(呆気ないと言っても「えぇ〜……」となってしまうものではなく、この物語ならこの解決でもいいなって思えるものばかりだ)、良い意味でなんとなく懐かしさのようなものを感じた。ライトノベルのこの手のノリの良さはとても好き。ライトノベルならではだなって思う。

ギャグテイストとは言ったが、もちろん芯の通った物語はある。ファンタジー舞台らしい世界の謎もあって、これらは次巻以降に持ち越しということなのだろう。ヒロインとの人としての距離感がどう世界の謎へと影響してくるのかが楽しみである。


最後に私も一応絵描きなので絵の話をしたい。

萌え萌えな絵!!!!!!!!という印象を持った。全体的に塗りがマットでうるささがない。でも瞳の部分なんかはかなり情報量が多くて、まさに美少女イラストという感じがあって良かった。女の子みんなやわらかそう。主人公を含む男キャラも少年のような豊かでやさしい顔をしていて、物語に合うなぁ~~と思った。どのキャラも素敵。


◆◆◆

作品はこちらから


前回のレビューは以下より



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