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ネーム作業あるある

ここしばらく、ずっとネームを直していました。
なかなかTwitterもチェックできず、更新が滞っていてすみません。(コメント、本当にいつもありがとうございます!いつも元気づけられています。どうかお気軽に、書いていただけたらうれしいです)


というわけで、ネームの修正に忙殺されていました。
(こんな大変なことを、連載漫画家の方は毎回毎回……、どうして間に合うの!?そしてどうしてあんなに綺麗に作画にできるの!?短編しか描いた事のない私には、想像もつかない領域です)


ネームというのは、漫画の設計図のようなもので、台詞入りでページにコマや人物の位置を書き込んで、お話の流れが分かるようにしたものです。
昨年末から、いくつかのプロットと、ネームを作っていまして、まずはネームをひとつ詰めている最中です。

毎回思うんですが、このネーム作業、どうしてこんなに難しいの!!!???
昔っから、「もう駄目だ、私には才能なんてないんだーー!」と絶望するまで自分を追い込まないと、できたためしがありません。

漫画を描く方の中でも、「漫画制作作業の中で、このネームが一番大変!」と思う方が多いと聞きます。「ネームができたらもう9割できたも同然」という声も。
(いや、全然同然じゃないですけどね!?私の場合、この後は「なんか思ってた絵にできない地獄」が待ち受けていますから!)


まぁ、延々愚痴を書いててもはじまらないです。
今、やっと修正が終わって、編集部の返答待ちなので、「ネーム作業あるある」でも書いて、落ち着かない気分を紛らわせようと思います。


あるある1:冒頭がメチャクチャ難しい

これどうでしょう、あるあるじゃないですか!?
毎回毎回、ここに一番引っかかって、膨大に時間をロスします。(「MY LITTLE PLANET」は、ここが思いつかないばかりに時間が無くなったので、最終ページから逆に描いていって、1ページ目を最後に描く羽目になったくらいです)

なんでしょう、本当に「オープニング」が苦手なんです。
欲を言えば、なんか次のページをめくりたくなるような「引き」も欲しいし…
後に全体を見渡した時に、足りてなかった世界観の説明もここに足しとかなきゃ、という時もあるし…

魅力的なオープニングを作れる方、本当に尊敬します!「こんな冒頭が頭に浮かんできたから、そこからお話を作りました」という体験、一度してみたいものです…!


あるある2:何が正解なのかわからない

いや、お前の漫画なんだからお前がいいと思ったものを描けよ、と思われるかもしれませんが、ほんとこれなんです!

問題は、「自分が良いと思うもの」が、「読者が良いと思うもの」としばしば一致しない、ということなんです。自分では「これで最高」と思って描いたとしても、読者に伝わらない、伝わりにくい、ということがしばしば。

そのために、編集の方に作品を見て頂いたり、周りの意見を聞くことが必要になってくるんですが、この意見もやはり「個人としての見解」には変わりがなく、誰の意見が正しいという事もないんです。
当たり前の事ですが、万人に伝わる正解なんて存在しないんですよね。

でも、わかっちゃいるけど、欲を言えばできるだけたくさんの人に伝わって欲しい。
しかし、周りにおもねるあまりに、自分の感性が信じられなくなって、本当に描きたかった事が、わからなくなってしまうことが私にはあります。

この件で、昨年色々悩んでしまって、知人の漫画を仕事にされている方々に相談させていただいたところ、皆様の意見はだいたい一致していました。

自分の作品の良さを一番わかってるのは自分なのだから、自分が守らなければ
主に、そういうアドバイスを頂きました。

実を言うと、私は自分の感覚にそこまでの自信を持てないという問題を抱えています。
そもそも、30年も挫折していた理由はそこにあるような気もいたします。

それでもたまに、ごくたまに、「このシーンはこの展開しかあり得ない」と思える瞬間もあります。その時こそが、漫画を描いていて一番楽しい瞬間かもしれない。

でも、そんな時があるのはマレで、大半は地図も持たずに砂漠をうろついているような気分です。
いよいよ困ったら、「未来の私がこの漫画を読んでいる」事を想像したりもします。そこに何が描かれてるのか、必死で目を凝らしたりします。それが見えた気がしたら、「ああ、ここはこれでいいんだな」と納得することができる。
本当はできもしない、未来予知の真似事をしてでも、「確かなもの」が欲しいんです。

ドラえもんで、フニャ子フニャ夫先生が未来の「あやうし!ライオン仮面」を読んでそれを描くという話がありましたが、その気持ち、痛いほどわかります!


あるある3:描いてて「これ本当に面白いのかな?」と不安になる

何度もネームを直して、同じ話を何度も読み続けてるうちに、なんだか感覚がマヒしてきて、何が面白いのかわからなくなってくる…あるあるじゃないですか?
(頼む、あるあるであってくれ……!)

ネーム直しって、物語を一旦解体して、また再構築する作業でもあります。そうやって、物語の「オモシロ」を、自分で分析してるうちに、なんだか冷静になってきちゃうというか…

たとえばギャグなんかそうじゃないですか?
一旦言葉にしたギャグを、「このギャグの面白さはこの点にあってね…」と説明しだしたら、途端にそのギャグが色あせませんか?
ギャグは生き物なんです、解体したら死んじゃうんですよ。

作品も生もののようなもので、あまりにいじくりまわしたら腐ってしまうというか、新鮮さがどんどん失われていって、情熱が色あせていくということが、あるような気がするんです。

この対策としては、「一晩寝て、後に見直してみる」と言うのが有効という話も聞きます。
確かに、一旦間を置くことで、マヒしていた感覚がリセットされて、新たな気持ちで作品を見られるということが、あるような気がします。

しかし弊害として、昨晩までは「良い」と思ってた展開が、翌日見ると「なんだこりゃ」となるのも、またあるあるではないでしょうか?(頼む、あるあるであってくれ……!!)

そのせいで、毎回3歩進んでは2歩下がる、を繰り返しての作業になってしまっています。この「翌日愕然とする」問題、作画の時も全然あるので、だんだん朝に原稿を見るのがイヤになってくるのも、また悩ましいです。


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そんなこんなで、カタツムリが這うようなスピードで本当に申し訳ありませんが、私なりにジタバタ頑張っています。

きっと、根本的に経験値不足なんだと思います。もっと精力的に描いて、もっと直して、作業に慣れたいです。
鍛錬して、強い「ネーム筋」を身につけたいと願う今日このごろです。

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