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わたしが会社を休む理由
電車の扉とホームドアが開く。
マイクを通して聞こえる駅員さんの声は、静かだけど怒りを含んでいる。電車の扉とホームドアが閉まる。そして、また開く。これで3回目だ。
無理なご乗車はお止め下さい。電車が出発できません。
先程よりも強く、怒りを伝える声。
内臓が冷えていくのがわかる。
目の前でおばさんが電車に乗り込もうとする。アナウンスは続く。身幅と車中のスペースの差などまるで気にしない。身体の半分は外に出たままだ。いつまでたっても扉は閉まらない。アナウンスは続く。
頭の中で何かが崩れる音がする。
わたしは並んでいた列から外れて、歩き出す。改札を通り、駅を出る。さっき通ったばかりの道を引き返す。今日はおうちに帰ろう。また明日からがんばろう。
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