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学校でいじめられている・ハブられている・うまくやっていけないと感じている小学生・中学生・高校生に。その気持ちがたぶんわかる25歳のお姉さんが伝えたいこと

(執筆日:2016年5月17日 関口舞ブログより転載。)

今日、電車でこのような光景を見た。

高校生の、同じ制服を着た女の子が4人、私の向かいに座っていて、そのうちの3人がみんなでLINEでメッセージを送り合ってくすくす笑い合い、残りの1人の子は、ずっと下をむいてスマホをみていた。どうやら、3人は、残りのひとりの子の悪口を言っているようだった。私と同じ場所で彼女達は降りて、楽しそうな3人に続いて、少しだけ距離を空けてもうひとりの女の子はとぼとぼと付いて行っていた。

恐らく、「ハブられている」であろうその子は、気の弱そうな美人だった。私はその場にいて、すごく傷つき、憤りを感じて、残りの3人に何か言ってやりたい衝動に駆られたが、どうせあとでまた3人で盛り上がるためのネタにされるのがオチで、かえってあの子を苦しめる結果になると思ったので、何もできなかった。気づいてあげられたのかもしれないのに、何もできなくて、本当にごめん、と思う。だから、せめて今、同じような問題で心を痛めているであろう日本中の小・中・高校生にむけて、私からいくつか伝えたいことがあるので書くことにしました。

まず最初に自己紹介。私はポケモンが151匹しかいなかった世代(笑)の25歳のお姉さんです。今は会社を経営していて、世界規模のwebサービスを作りたい、自分のつくったもので多くの人を楽しませて、幸せにしたいと思ってがんばっていて、すごく充実した毎日を送っています。

でも私は、小学生の頃から、勉強をすごくがんばっていたから比較的優等生だったけど、どうしても、いわゆる「女子のグループ」というのが苦手でした。誰かが常に誰かの悪口を言っている、仲良くしているのに本当は嫌っている、みんなで誰かを一緒になって傷つけることが日常茶飯事な状況に、本当に耐えられなかったタイプの人間です。

中学時代、3人組のグループで仲良くなりました。で、よくある話だけど、好きなアーティストが違うとか、私が誕生日にプレゼントをあげ忘れた、とか、なんか色々と重なって、その2人に一時期うまく馴染めなくなってしまったことがあります。2人だけでどこかに出かけたり、メールをしたりしていたようで、あの時期は本当に、辛かった。だから今のみなさんの気持ち、今日の電車で出会ったあの子の気持ちが、すごくよくわかる。

自分がその場に歓迎されていないということをしっかりと感じながら、それでも、そこにいなくてはいけない、って思うんですよね。だってそれをやめてしまったら、これから先、お昼休みも、修学旅行も、音楽や体育の移動もぜんぶ、一緒に過ごす相手がいなくなってしまうから。トイレにすら行きづらくなってしまう。想像できない人もいるかもしれないけれど、中学生女子があるグループを抜けて他のグループに入れてもらうというのは、国籍を変えて別の国の国民にしてもらうくらい、本人たちにとってはハードルの高いことなのです。

あんな思いをするくらいなら自分ひとりでいたほうがはるかに気が楽なんだけど、でも、みんながみんなグループでいて、自分だけがひとりでいる、それをみんなに見られてしまうことが非常に苦痛で。それらのリスクを勘案した結果、我慢してでも、居心地が悪くても、その場に居座ったほうがいいという結論に至る。というかそれしか選択肢がないんですよね。それでも私は当時、なるべく「自然に」一緒にいる時間を短くするために、昼休みは「図書館で勉強をしないと塾の宿題が終わらないから」と言い張って自分から遠ざかってみたりしていました。

別に、いじめられていたわけでもないし、彼女たちもそこまでの悪気はなかったはず。でも、当時は学校の中の、その小さな小さなコミュニティが自分の社会的な居場所の全てで、そこで楽しくやれない、ということは、わたしには全世界から拒否されていると思えてしまうくらいショックだった。朝が来るのがこわいから、眠るのが嫌だった。彼女たちと仲良く遊ぶ夢を何度もみた。でも、なんだかんだあって、いつのまにか関係性は普通に戻っていました。ほんの一瞬のことだったのかもしれない。でも私は当時、「こんなに小さな世界ですらうまくやれなかった自分は、この先の将来ももしかしたら難しいのではないか。」と考えてしまいました。

さて、そういうわけで、そんな私がみんなに言いたいことを下記に書きます。

1.無理して学校に行かなくていいと思う

上記の状況もあり、あとは毎日が同じことの繰り返しで本当にバカバカしくなってしまって、私は一時期、数週間くらいですけど、学校を休んでいました。その間にも塾にはしっかり通って、勉強をがんばって、残りの時間は小説を読んだり、ネットの掲示板を見たりしていました。(このときにネットで「いろんな考え方の人がいるんだ」って世界が広がって救われた経験が、今の仕事につながっていると思います)

そういうのもあって、どうやら当時の私以外の2名は「うちらのせいであの子が不登校になったらヤバイ」とか思って、態度を改めてくれた節もあったようです。学校で嫌なことがあったら、行かない、というのはある意味明確な意思表示であり、抵抗にもなりうる。しかもみなさん、ブラック企業もそうですけど、明らかに正しくない扱いを受けている場に、無理して身を置くというのは、全然正義じゃないと思います。その場所、環境、時代によって常識やルールはどんどん変わっていくもの。服を着たあなたが裸族のグループにいれば異端児になる。あと一時代早く生まれていたら誇りを持って戦争に行き、人を殺して正義だったかもしれない。などなど。

あなたと周囲のルールが食い違っていたからといって多数派が一方的に正しいわけではないってことです。まあそんなわけで、自分がたまたま身を置いたその場所で、たまたま楽しくなかったとして、なるべく一生懸命合わせようとして、それでもどうしてもつらすぎる場合は、潔く行くのを辞めるというのもひとつの手段だと思います。無理やり通って、思いつめて死んでしまったというような痛ましい事件をきくと、本当にそう思います。

2.「大人になったらもっと大変なんだから」は嘘。大人になると断然楽になるよ。私は中学がいちばん大変だったし、今が一番楽しい。

大人になると、自分でやらなければいけないことが増える代わりに、自分の生き方を自分で選べるようになるから、決められた学校に毎日通わなければならなかった学生時代より、人間関係はずっとずっと楽です。今、すごくつらいあなた。今がピークだと思っていいよ。むしろ今を辛さのピークにできるかどうかは今のあなたにかかっている。この先に自分の人生を自分で決められるようにするためには、

3.勉強は、とにかくしっかりやっておいたほうがいい。

本当にこれに尽きます。自分の将来を、自分で選択するためには一定の力をつけておくことが非常に重要です。あと、本もたくさん読みましょう。今身につけた「努力する能力」「考える力」は一生の武器になる。私は一番入りたかった高校に入り、東京に出て色々な経験がしてみたかったから受験勉強をして明治大学に入り一人暮らしを始めて、それから一番入りたかった広告系の会社に入り、それから自分で新しいチャレンジがしたいと思って、会社を作って、好きな人だけ集めて仲間になってもらって、毎日新鮮な気持ちで暮らしています。

好きな学校に入るのも、やりたい仕事をみつける・あるいは作るのも、好きな人たちと一緒にいられるのも、全て自分の身につけてきた能力にかかっています。だからあの頃、学校が本当にくだらなくて、クラスの人がみんな信じられなくて、それでも自分の将来にだけはしっかりと夢をもって、努力を真剣に続けてきて本当によかったと心から思う。勉強をして、将来の夢を叶える手段を調べて、毎日の自分を少しでも向上させるために日記を書いて、たくさん本を読んでいました。みなさんも、今はたまたま置かれた環境の運が悪かったかもしれないけど、大人になったら自分でそれを作っていけるから。作っていけるためにも、選択肢を広げるためにも、どうか勉強を頑張ってほしいです。勉強に限らず、何かに対する努力を続けてください。

4.いじめをする側にもかわいそうな部分はある。あなたは一歩先に少し大人になって、勝手に許してあげよう。

私はただ、グループに上手く馴染めなかったというだけだったけど、当時の中学にはいわゆるれっきとした「いじめ」も存在していました。その主犯格だった子たちは、ほとんどの場合家庭で苦労していたり、行きたくても、お金の問題で高校に行けなかったり、そのような状況でした。あたたかい家庭で幸せに暮らしていて、高校生活に期待を膨らませながら受験勉強に集中していたら、他人をいじめようなんて思わなかったはず。そんな恵まれた状況の他人を憎んでしまうのはある意味仕方ない部分もある。自分の状況にこれ以上の向上が見込めなかった場合、他人を傷つけ貶めて、相対的に自分が優位に立つしかやり方がわからなかったんだと思う。今なら、そう思える。

だからみんなも、ある意味ではそこを理解してあげましょう。問題はもっと深いところにあるのであって、その原因を被害者である自分の中に探して必要以上に傷つかないでください。

つまり簡単にいうと、「無理しすぎないで。そして、強くなって、優しくなってね」ということです。一番大事なのはやはり、強くなること。強さとは、この場合は賢さとか知恵とか思慮深さとか勇気とか、努力できる能力とか、そういうこと。今、辛い状況にいたとしても、自分で努力して培ってきた強さと「自分の人生を自分で選択し、作る能力」は、必ず一生あなたを支えてくれるから。

今日の電車で出会った彼女にも、どうか届きますように。

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