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やっぱり、本は読者に読んでいただいて初めて完成する

「コンセプト・センス」発売から約1ヶ月。

著者からすると、案外、本が出て、それが人の手に渡って読まれているという実感って、わからないものでして。本屋に自分の本が並んでいるのを見るともちろん「おおおお」ってなるのですが、そこから先、誰かの目を通して脳なり心なりにいかに到達しているのか、その様って、全然手応えはないんです。

青山ブックセンター ビジネス書で週間1位になったり。
これはこれで手応えなのですけど。

そう考えると、リアルイベントで直接、読んでくれた方やこれから読みますという方と、お会いして、お話しできるのはとてもありがたくて。なんで本を書いたのかの、自分なりの答え合わせをしたくて、こういうところに出てきているのだなあと思ったりします。

2/13 with ドミニク・チェンさん @六本木アカデミーヒルズ


ドミニクさんと、グラレコ担当中尾さんと、著者。

研究者であり、アーティストであり、ビジネスフィールドでもご活躍というドミニク・チェンさんとの対話。初めましての研究者の方と90分話すという、個人的には一番緊張したイベントでしたが、ドミニクさんの優しさと、オーディエンスの皆さんの好奇心に救われて、楽しくできました。

詳しいイベントレポートは森ビルさんが4月ごろに記事化してくださるということで、それをお待ちいただきつつ。一つだけ、印象に残っていることを述懐すると、やはりコンセプト・センスは「日常の生活をいかに丁寧にするか」で養われるという僕の仮説が、ドミニクさんによってある程度「当たってる」と示していただいたことで。ドミニクさんが、nukabotを発明するに至った経緯をお話ししてくださったのですが。

全ては、ご自身で糠床をダメにしてしまった、それはそれは悲しく落ち込んだ体験が原点にあるということでした。日常生活を丁寧に、自分なりに一生懸命行うことで、そこに悲喜交々、いろいろな出来事が発生する。その時に、自分が感じた感情や衝動、その時とった行動と、その原因とを、注意深く観察することで、そこから、違う考え方に入っていく「曲がり角」のようなものに気づいていくんじゃないかと、思ったんです。糠床をダメにして悲しかった体験から、「もやしもん」を読んで「菌と対話できたらいいのに」と着想し、実際にそれが可能にできないかという研究のテーマを見出し、研究を実際に始めたことによってさらに人生の風景が変わり…  「研究者とは、常に研究テーマを探してしまう生き物である」という趣旨の対話もありましたが、それは研究者に限らず、ビジネスパーソンも「パーソナルクエスション」を抱いて日々を過ごすことが、それ自体も自分の生きるコンセプトになるし、そこからコンセプトも見立てられる。

期待通り、というか期待以上に、ドミニクさんとの対話は、「企画書にどうやってコンセプトを書くか」という枠の外の、「コンセプト・センスを持って生きるとは、どういう風景なのか?」という問いに対してのそれになって、自分が一番、勉強になりました。「哲学の勉強をする」「ちゃんと生活をする」の2つ、いただきました。


2/26 with 横石崇さん・高橋晋平さん @渋谷ヒカリエ 8/


高橋晋平さんと、著者(宣伝形態)と、横石崇さん

プロジェクトプロデューサー横石崇さんと、おもちゃクリエーターの高橋晋平さんとの、5年ぶりのトークイベント。お二人がお話の達人なので、前回のイベントもそれはそれはやりやすく、自由にさせてもらったのですが、今回はその時以上に、お話がいい軌道を描いた気がします。

イベント中に横石さんに言語化のアシストをいただいて自分でも初めていったんですが、自分は「認知フェチ」なんだなと、改めて自覚しました。商品の実態や物性、それがもたらす売上よりも、人が何を見たときにどう感じてそれを何だと思うのか。そんな「認知」にこそ、一番興奮するのだと。蒸気機関の素晴らしさをいくら人にプレゼンしてもわかってもらえなかったワットが「馬力」というコンセプトを発明して、人々が「動力」という世の中の新しい認知の仕方を獲得した話に、やはり興奮するのです。

人それぞれ、何に興奮するかは違うし、それが人間の面白さで。ただ、自分のそれが何なのか、掴んで置けると、生きやすくなるのだろうなあとは思ったんです。高橋晋平さんは人生の途中で、「俺は何しろ、人を笑わせたいんだと気付いてから、とても生きることがシンプルになった」と言っていたように。自分の人生のコンセプトはそうやって、「決める」というよりは、「見つける」というか、もっと言ってしまうと元々実は自分の中に搭載されている何か、センサーのようなものを「見立てる」感覚なのかもしれない。

またしてもお二人に、自分の価値観に輪郭をひいていただいた時間でした。インターンに参加してくれていた学生さんが立派な社会人になってきてくれたり、初対面なのに差し入れをくださる方がいたり、会社の後輩が月曜の業務後だっていうのにわざわざきてくれたり、人のご縁とご厚意に感謝できたいい時間でした。

グラレコ1
グラレコ2

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そんな、イベントラッシュの第一陣が終わったメモでした。やっぱり、本は読者に読んでいただいて初めて完成すると、改めて感じた1ヶ月。

感想など、ぜひいただけると嬉しいです。また、このnoteでの記事に関する質問、または「コンセプト・センス」本編にまつわる質問は、マシュマロまでいただけると嬉しいです。


「サイドノート」も引き続き、マイペースに更新していきますので、よかったらマガジンのフォローもお願いいたします。としてはじめてみます。

「子育てと仕事しながら、本を書くってどういうことだったか」
「会社員が、思想を持って社会と直結することの難しさ」
「本を出したい人へのエールとアドバイス」
「おすすめの都内作業スペース&おこもり作業宿」
「泣く泣く削除した、ディレクターズカットパート」

こんなあたりを、考えてますので、更新をお待ちください。


てな感じで、今回はここまでです。
May the concept be with you!


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2/29 20:00~21:00
@Schoo オンラインウェビナー
「コンセプト・センス - 人を動かす企画の生み出し方」

この本を書くきっかけになったSchooさんでの凱旋講演です。2年前から大幅パワーアップした内容でお届けできると思います。1/31の初回を経て、第二回は「実際にその場でコンセプトを作ってみよう」という、料理番組的スタイルで皆さんとご一緒する予定です。コンセプト、実はよくわかってないかも…?という人から、実際に企画を目下作らないといけなくて困っている方まで、オススメです。


3/14 13:30~14:30 
@テテマーチ オンラインウェビナー
「Z世代の心を掴むコンセプト戦略」
  

テテマーチさん主催のオンラインウェビナーで、Z世代を味方につけるコンセプト発想のあり方について、トークセッションを予定しています。


4/2 08:00~09:00 
@虎ノ門ヒルズ OVAL CAFE リアルイベント
ソーシャルブレックファースト
「社会をよくするコンセプト」
 ※URL未定

社会を良い方向に進めるために、コンセプト発想ができることは何か。事例も辿りながら考えてみたいと思います。


4/10 
@下北沢B&B リアル&配信イベント
「切り拓く人の、コンセプト・センス」
 

アフリカでの雇用創出を目的としたアパレルブランド「CLOUDY」のディレクターである株式会社DOYA代表の銅冶勇人さん、台湾発の漢方のライフスタイルブランド「DAYLILY」のCEOである小林百絵さんをお招きして、新たな世界を切り拓く若き経営者/ブランド創設者のお二人と一緒に、実際のエピソードも交えながら、コンセプトセンスの磨き方・活かし方について、語り合います。


※※※
今後もどしどし、企画中です。
随時、情報UPDATE致しますので、ぜひチェックしてみてください。

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