[連載小説]ギルティア王国大戦記 第10話

貴斗がヘラクレス・スカラベ・ケルベロス・リザードマンと共に戦っている間、アイリスは王宮で不思議な声に導かれていた。

「アイリスちゃん、こっちにおいで。」

アイリスは初めて異世界に来たとき、不思議な声(後にその主はヘラクレスと判明)に導かれたことを思い出した。

故にこの声に従えば、元の世界に戻れると思い、声のする方に歩み出した。

貴斗は戦いを終え、王宮に戻った。

そのとき、とぼとぼ歩くアイリスを見掛けた。

「おいアイリス、どこ行くんだよ?」

貴斗の問いにアイリスは

「元の世界に帰るの。」

と答えた。

貴斗がアイリスの様子がおかしいと気付いたときには、すでにアイリスの姿はなかった。

同じ頃、優駿が目を覚ました。

「女王様が手当てしてくれたのか。ありがたいけどこういうのはアイじゃないと落ち着かないんだよな。」

状況を察した優駿が呟いていると、貴斗が血相を変えて駆け寄ってきた。

「優駿、アイリスが大変なんだ!」

貴斗から事情を聞いた優駿は、急いでアイリスを探し始めた。

アイリスは、声の主の元にいた。

その正体はクライであった。

クライはアイリスに幻術をかけ、自由に操ろうとしていた。

間一髪のところで、優駿と貴斗が合流した。

「目を覚ませアイリス、そいつは敵だ!」

貴斗は叫ぶが、

「何言ってるの、この人は私を元の世界に帰してくれるのよ。」

アイリスは幻術にかけられたままであった。

そのままアイリスは心の闇を出し続けた。

「私は帰る。だって帰りたいから。それに私はシュンや貴斗みたいに戦えない。だから足手まといでしかない…。」

「足手まといって言うな!」

優駿が叫んだ。

「俺にはアイが必要だ!大好きなアイがそばにいることが、俺の一番の支えなんだ!」

優駿はさらに叫んだ。

優駿の声が届いた結果、アイリスは正気を取り戻し、クライに一矢報いた。

クライは悔しさに唇を噛みながら去っていった。

王宮の外では、トラロックが攻めてきていた。

優駿はロート・ユナイト4に変身し、未だ残るダメージにより苦戦しつつも、勝利を納めた。

こうしてアンダンテ国もまた、チーム・ロートの領土になった。

「ねえシュン、さっきの言葉、全部本当の気持ちだよね?」

アイリスの問いに

「もちろんだよ。俺はアイがいてくれて本当によかった。」

優駿ははっきり答えた。

「優駿って恥ずかしい台詞すんなり言うよな。」

貴斗は感心していた。

ギルティア王宮

クライが戻ったとき、そこにはメザイアしかいなかった。

「ちょっと、他の連中は。」

クライの問いにメザイアが答えたとき、クライは戦慄した。

「出迎えに行ったのよ。絶対王が帰ってくるのだから。」

シン、ブラム、シロガネは絶対王を出迎えようとしたが、現れたのは絶対王の配下・スレイプニル曹長のみであった。

スレイプニル曰く、絶対王は途中で遊びに出たというが…。

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