[連載小説]ギルティア王国大戦記 第1話

8月1日

高校1年生男子・明坂優駿(あけさか・ゆうしゅん)は、夏休みを満喫していた。

最初の一週間で宿題を全て終わらせた優駿は、暇を持て余しコンビニに立ち寄った。

そのとき、

「ちょっとシュン!」
「ちょっと優駿!」

同時に男女に絡まれた。

女子は高校2年生・首藤アイリス(しゅとう・あいりす)。

優駿とは中学時代から交流のある、いわゆるガールフレンドだ。

アイリスは優駿とのデートをすっぽかされたと怒っていた。

ちなみにアイリスは優駿を「シュン」、優駿はアイリスを「アイ」と呼んでいる。

男子は同じく高校2年生・唐澤貴斗(からさわ・たかと)。

優駿と貴斗は特撮ヒーローものの熱心なファンで、共通の趣味がきっかけで仲良くなった。

貴斗は優駿と遊ぶ約束をすっぽかされたと怒っていた。

ちなみに貴斗は優駿を「優駿」、優駿は貴斗を「先輩」と呼んでいる。

「ストップ!まずアイ、俺たちのデートは明日!それから先輩、俺たちの約束は明後日!」

優駿はアイリスと貴斗をなだめた。

もともと犬猿の仲だったアイリスと貴斗がふとしたことからケンカし始めた頃、優駿は不思議な声を聞いた。

優駿は、その声は助けを求める声だと直感した。

そして声の聞こえる方へ走り出した。

優駿と、その後に続いたアイリスと貴斗は、声のする先で、光に包まれた。

次の瞬間、目の前には見慣れない光景が広がっていた。

三人は異世界に迷いこんだと理解した。

彼らの前に現れた異世界の住人・ヘラクレスは、優駿に訴えた。

「お願いします。僕らの世界をギルティア王国から助けて下さい。」

ちなみにヘラクレスは「住人」といいつつも、見た目は赤くてプリチーなカブトムシである。

ヘラクレスが「ギルティア王国」について説明するより早く、そのギルティア王国の兵士・ユーザイ兵が攻めてきた。

ユーザイ兵は指揮官・ジューザイ伍長の指示のもと、完璧な統率で街を破壊した。

自分の成すべきことを理解した優駿は、鎧に変わったヘラクレスと一体化し、戦士の姿に変身した。

その瞬間、優駿は紅戦騎ロート(くれないせんき・ロート)になった。

優駿とヘラクレスの息が合うことで、ロートは強くなり、ユーザイ兵はおろか、ジューザイ伍長をも倒した。

「ありがとう。これからもよろしく、優駿!」

「こちらこそよろしく、ヘラクレス!」

優駿とヘラクレスは強い絆で結ばれたが、アイリスと貴斗は混乱しっぱなしであった。

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