三千世界覇王グローブ 第8話

「なぜアタシがアナタを好きになったか知りたい?」

恩田心よ、もったいつけないで早く話してくれ。

俺--世良快里--は少しイラっときた。

「アタシね、快里クンが雨の中仔犬に傘を上げるところ見たんだ。それまでは陰キャで近づきたくないと思ってたけど、その時アナタは不器用で優しい人だと思ったの。」

恩田心の説明を聞いて、俺は思った。

なんて漫画チックなんだ。

あと俺は陰キャと思われてたんだ。

「恩田さん、俺のこと好きなのは勝手だけど、あんな化け物がついて回るよ。」

「だったらアタシはアナタを助ける。何が出来るかわからないけど。」

恩田心はなんてキレイな心の持ち主なのだろう。

俺はなんで嫌ってたんだろう。

「ありがとう。まずは友達としてよろしくね、心。それからこの前は八つ当たりしてごめんなさい。」

気がついたら俺は、一度断った告白にちょっとだけOKしていた。

同時にいつぞやの八つ当たりを謝った。

「嬉しい。快里クンアタシを名前で呼んでくれた。」

そういえば心を名前で呼んでた。

しかも呼び捨てにした。

こうして俺と心は「お友達」になった。

しかしこれでよいのだろうか?

このままでは心を戦いに巻き込んでしまう。

なんて迷っていたとき、新たなドール怪人・ワスプドールが現れた。

俺はグローブに変身し、フレイム・アクア・ウインド・メタルの力を使いこなして倒した。

ワスプドールにされていたのは、同じクラスのキルトが趣味の女子だった。

最近は人間関係で悩んでいたらしい。

「また同じ学校の子が狙われたわ。」

心の言葉で俺は気づいた。

ドール怪人にされていた者の共通点は、悩みがあるというだけでなく、俺の中学校の関係者ということに。

「学校の中に敵がいる。」

俺はただただ戦慄した…。

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