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詩手帖

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八燿堂の中の人、岡澤浩太郎が、40代半ばから生まれて初めて詩を書きました。粗さが残る感触もそのままにお楽しみいただけましたら
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[詩手帖]Aへ

今日はいい日 今日は悪い日 そう言って君は 泣いたり笑ったりするけど 今日という日は たぶん どちらでもあって シャボン玉とか夕焼けの色みたいに もっともっと ぐちゃぐちゃしている 二度と訪れない赤が燃える 美しい この日 それに僕には 泣いたり笑ったりする君のことが いつだって とても愛しい

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[詩手帖]いきづく森

宇宙の片隅で 彗星が白く  糸を引いて 流れて堕ちた 君は目を覚ます 光 青と緑 ざわめく気配 新しい世界 この星へようこそ 森は君が来る前から生きている ようこそ とは言ったけど 君の場所は なんとなく空けといたから あとはどうぞ お好きにやってね

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[詩手帖]鹿の王

鹿の王が来る ひとつ、ふたつ、みっつ、群れを連れて 人の気配が消えた 雪の夜 空へ分かれた 樹形のような角 雪を踏む 隆起した筋肉 異界の口が 開(あ)いた 目と目 ピン と糸を張って 見ている 俺を見ている

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[詩手帖]その感覚なら知っている

夜に移る空と 影になった森の淵 三番目か四番目の星と目が合った なんでかわからないけど ここにいるのに くっついて 震えて 2ミリぐらい浮いてて 止まる 風が流れて 音が溶けて 体が薄れて 消えるけど なくならない あっちの光になる

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[詩手帖]朗読と音楽

八燿堂のポッドキャスト「sprout!」の[special contents]として、朗読と音楽のプログラムをオンエアしました。参加してもらった現役のクリエイターは八燿堂の地元、長野県東部=東信在住者ばかりです。何かと忙しく慌ただしい春ですが、一服の息抜きにでも、最後の余韻までのんびりとお楽しみください。 写真(top)=林光 プログラム前半演目 宮沢賢治「やまなし」 宮沢賢治「農民芸術概論」 出演 詩=宮沢賢治 朗読=岡澤浩太郎 音楽=駒場拓也 ※プログラム前