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西岡まほ
2017年12月15日 17:14
12月の寒い日だった。買ったばかりのコートを着ていたのに、気分はどんよりと落ち込んでいた。その頃の私は小さな恋を失ったばかりで、枕に突っ伏しては思い出の中で呼吸をしていた。客観的にみればなんてことのない、つまらない失恋だった。しかし当事者は事実を客観的にみることができないというのが世の常で、当事者の私は泣き濡れて暮らしていた。「当たる占いがあるんだよ」ふと、友人の言葉を思い出す。わらにもすが