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完全復活

好調なファームの若手

一軍の勝てなさ加減もあって、元気のいい二軍の選手に一軍に上がって来て欲しいという意見をよくTwitterで見かける。
ホームランを量産している万波や今川だけでなく、五十幡の名前もよく挙がっていた。

しかし、五十幡はキャンプ期間を怪我で棒に振り、3月16日にやっとチームの全体練習に加わり、3月23日にファームの試合に初出場したばかり。
まだどの試合も途中交代で、フルで試合に出ていない五十幡が一軍に上がるのはまだまだ先だろうし、この状態で上げてはいけない。今は時間をかけてでも、じっくりと五十幡の完全復活を待たなければならない。

そう思っていた。

デビューからの軌跡

思えば初めてファームの試合に出た日にもこう言っていた
え?もうデビュー戦?
そのデビュー戦で平凡な当たりをツーベースにして、ファンの(私の)心を掴んだ五十幡。
2回目の試合出場が1週間後の3月31日だったから、体調を見ながらゆっくり時間をかけて試合勘を取り戻して行くのだろうと思っていた。ちなみに31日も2打席だけで4回から交代している。

2日あけて4月2日にもスタメンに名を連ねた五十幡は、さらに「五十幡らしさ」を見せつけてきた。
3回の第2打席で、打ったボールはピッチャー強襲の当たり。グラブに当たって転々と転がるボールを拾い、一塁にグラブトスするも間に合わず打った五十幡はセーフ。
別にピッチャーは慌ててお手玉したわけでもなく、スムーズな打球処理だった。打者が五十幡でなければ、普通にアウトが取れていただろう。
またストップウォッチで手動計測したけれど、一塁駆け抜けタイムが3秒7だった。これは早い。
そしてこの日は6回の守備から交代。少しずつ試合に出ている時間が長くなってきた。

脚を使うということ

1日あけて4月4日の試合でも「五十幡らしさ」でいっぱいだった。
4回の2打席目(この日は打順もこれまでの1番ではなく6番に入っていた)。
ヒッティングの構えからのセーフティバント。上手いところに転がしたのもあるけれど、一塁悠々セーフ。カメラがボールを追って一塁を映した時には既に一塁ベースを駆け抜け、画面からフレームアウトして行った。
そして続く3打席目はフェンス直撃の長打。スタンダップトリプル。余裕のスリーベースヒットだった。
速い。とにかく速い。
このスピードで走れていることから、もう脚には問題ないのだろうなと思った。

そして昨日、4月6日。また元の1番に打順を戻した五十幡は、とうとうアレを決めた。
まだここまでひとつも出ていなかった、アレ。
4回にフォアボールで出塁すると、続く細川の打席で2球目に走る。見事に盗塁を成功させた。
この日は守備でも走った。6回の綱島の打席。打った球はライト方向へのフライ。
……だったのだが猛然と走ってきたセンターの五十幡がキャッチした。ライトに任せてもいい当たりではあったが、守備範囲の広さを見せつけられた。

そして何よりこの試合、五十幡はプロ入りしてから初めてのフル出場を果たした。

まだ「完全復活」とは言えないかもしれないけれど、完全復活へ大きく近づいたと言えるだろう。
しかしまだしばらくファームで鍛えさせてほしい。慌てて昇格させないでほしい。なによりもホーム球場の札幌ドームは人工芝が薄い。硬い地面(コンクリート)でまた脚を痛める危険性がある。
ファームの試合で見ていてもまだ五十幡は細い。周東や和田も細身ではあるのだが、さらにそれよりも細く感じる。
即戦力大卒ルーキーと言われているが、まだ22歳なのだから、この一年をじっくり身体作りにあてたっていいだろう。長期的な視野で育ててほしい選手だし、長く活躍してくれる選手になってほしい。
こんなに見ていてワクワクする選手はなかなかいないのだから。

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