西森まほ

現在東京で暮らすフリーライター、作家です。 読書、旅行、京都、美味しいものを食べるのが…

西森まほ

現在東京で暮らすフリーライター、作家です。 読書、旅行、京都、美味しいものを食べるのが大好き。 noteでは、自伝的小説やエッセイを連載したいと思います。

最近の記事

自伝小説 帰る場所③

自由と孤独 その次に住んだ部屋は、新築の木造コーポだった。内見に行ったとき、あまりの綺麗さに舞い上がった。 コンパクトなユニットバスはいかにも都会的で、明るいフローリングの床はずっと憧れていたものだ。 まさに理想の部屋だった。一階で防犯面だけが不安だったけど、仕事場までは歩いて10分、繁華街も近い。立地も最高だった。 家賃は32,000円、これはひと月85,000円の給料しかもらえない自分にとってものすごく無理のある金額だ。だけどどうしてもここに住みたいと思った。 敷

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    • 自伝小説 帰る場所 ②

      怪しい隣人 ボロアパートの隣人は、接骨院の看板を掲げた一人暮らしのおばさんだった。 引っ越しの挨拶に行ったとき、家中を埋め尽くすおびただしい数の人形たちに驚いて、叫んでしまいそうになるのを必死に堪えた。ミコトは引き返そうとしたが私は彼女の腕をつかんで引き止めた。 こちらをじっと見ているチリチリパーマのおばさんに、ひきつりながら笑顔を作ってタオルを渡した。 「あの、隣に越してきました西森と江川です。これからよろしくお願いします」 「若い女の子の二人暮らしなの?うちはたく

      • 自伝小説 帰る場所 ①

        消えてしまいたい夜に いつか、自分の家が欲しい。 ワンルームマンションでもいい。1LDKなら申し分がない。 誰にも追い出されることのない、死ぬまで住んでいられる自分だけの家が欲しいと思う。 実家を出てから今日まで、ずいぶん引っ越しをしている。 数年前、父が亡くなり母と兄に実家を相続放棄させられた。母は兄だけが可愛くてしかたないのだ。 そのとき、本当に帰る家がなくなってしまったのだなぁ、と思い知らされた。 帰るつもりもなかったし、あまりいい思い出がない家だったけれ

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          西森まほは、小説、エッセイ、ルポルタージュ、記事作成などのお仕事をお受けしております。 得意分野は、心理学、貧困問題、親子関係、教育格差に関わる内容です。 締め切りに余裕を持った納品を心がけております。 どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

        自伝小説 帰る場所③