二〇一五年四月の短歌
裸木に命を灯すヤドリギは老いた躰の性毛のごと
「母さん!」とわたしを呼んだ祖父の息止まって部屋のカーテン揺れて
帰らなきゃいけないのよとベトナムの少女は笑うかぐや姫みたいに
「美しくも青くもないのねドナウ川は」それでもあなたの頬はバラ色
そう君の野菜は多めだったよねトルコなまりで笑う店員
冷えた足添わせて暖を取りにけり夫の白き肌はこと温き
紙コップの小銭を鳴らす物乞いに遠い海の香をかいだ気がして
うす笑い浮かべてあちらこちらへと漂うわたしはラバーのアヒル
陽をバックパックに背負って人は行くサンチャゴになにかあると信じて
ララエララ子らが帰った放課後の校舎に響く戦いのうた
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