二〇一五年十二月の短歌
戦争を憂う人らのテーブルの肉の塊固く冷えゆく
ただひとり背中丸めて行き過ぎるスパイス香るクリスマス市
キャンドルを灯して聖夜を待つ君のうしろでちょいと柿の種食べ
お茶すするあなたの白髪が目につけど目合えばすぐに十七の頃
クリスマス「ヴァイナハテン」と呼ぶ国で熱いビールをすすり郷愁
「兵士A」がどこかで引き金引いた夜わたしの豚汁美味しくできた
去年より街がきらきらして見える欧州暮らし、2度めの冬は
グロテスクな収集品で充つカフェの女主人の腰のくびれよ
誰もいないカフェであなたのドレスだけやけに紅くひらひら舞って
異国の人カイロのかわりに犬抱いて石畳の上、売り上げはゼロ
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