二〇一六年一月の短歌
転がったじゃがいも拾う連帯感くつくつ笑いが広がる夕暮れ
ぴんと立つ短い白髪を引っ張ってその強情さに驚き、あきらめ
隣人の老女の咳が響きおり壁から染みだす聖夜の孤独
隣人の老女が聖夜にひとりきり眺めるテレビはSATC
迷彩服着れなくなったと腹たたくあなたはかつて兵士だったのね
灯が揺れるモミに駆けより我先に包み紙やぶる子らの歓声
海からの風に砂舞うテルアビブ猶太の男の帽子が落ちて
ベルリンに季節外れの桜咲き久方ぶりに思い出す恋
除夜の鐘を聞けないから煩悩は消えない仕様、ということにする
あのころはあんなにキライだったのにいまは恋しい歌合戦
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