二〇一五年九月の短歌

落ち葉踏み甲子園の歌口ずさむひとりきりのベルグラード通りで


いつまでも無邪気な娘でいたくって母の尻から目そらす銭湯


書きかけの不倫メールもそのままに眠る親父を乗せた地下鉄


明け方の濡れた向日葵うつむいて私はなにを夢みたのだっけ


姪っこのおっぱいかすかにふくらんで笑う私のシワひとつ増え


幾万の難民来てもコシヒカリ何合炊くか悩む私は


曇天を背にした雄牛に尋ねても神か阿呆か道は語らず


おめでとういろいろあったねでも今日は何も語らず朝まで踊ろう


トカゲ這う瓦礫になった生家でもあなたのかかとは宙に浮きおり


「この苗をいつかワインにして飲もう」あなたのロマンについて行くわよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?