二〇一六年七月の短歌
地下鉄でぽろぽろ零れ落ちるようなヒジャブの子たちのおしゃべり愛し
意地悪なふりをするけど知ってるの最後のいいとこ私のものね
いつまでも空の端あかるい夏至の夜の月をみていたあなたとふたり
夏至の夜のあなたのいないバルコニー月の光が背骨にしみる
退屈なクラスの窓に鳩飛んでケバブのにおう移民学校
友人があなたの国で死んだのと言いかけやめる移民学校
大海をゆくはずだった幾千のピンクの粒を歯でつぶしおり
大好きなあのこと別れて大海を目指す川面のサッカーボール
いつまでもパスタをしょっぱくする私あなたの嘘はすぐわかるのに
三十路だもの今日も笑顔で飼いならす驕りと嫉妬と卑下と怠惰を
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