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リングとスポンサー

久々に麻雀以外の話を。
ボクシング…かはともかく、皆さんは、格闘技のジムの会長の仕事で一番大事なことってなんだと思いますか?
自分は、選手の育成や新人の発掘、スポンサーを集めてくるのもさることながら、一番大事な仕事は、スポンサーを廻すことだと思うんすよね。
廻す。なんかかっこつけた言葉を使ってしまいましたが、要は、スポンサーに気持ちよくなってもらいつつ、ジムの経営者じゃないんだぞと分を弁えてくれるように上手に誘導し、一般のファンの高揚を絶対に阻害させないことが、ジムや選手の継続的に発展させるためにすごい大事なんすよね。特に最後のが一番重要です。

もちろんスポンサー契約の目的って、会社名や商品のアピールっていうのが建前なんすけど、よほどのビッグイベントをのぞけば副次的な目的として、そこそこ儲かってテンションの上がってる社長さんが自尊心を満たすことってのがあるんすよね。シャンパン開けるのと大して変わらない心の贅肉の部分。
もちろん、心だって体だって、贅肉がないと故障しちまうから、それはけして悪いことではないんすけど、それでも、スポンサーになってもらう場合、この社長さんの心の贅肉の部分がある、場合によっては相当強くあるってことをまず意識して、満たしてあげつつ明確な線を引くことが大事なんすよね。

たとえば、なんとなくジムのスポンサーになってくださいっていう集め方は、基本しないっすよね。その集め方だと、対価として、運営に口を出されたり、社長ありがとうございます!をオープンな(一般のファンが見てる)場でやらされる可能性が高くなるし、スポンサー同士の序列が混乱するから。そうじゃなくて、あくまで興行のパンフレットのこの枠でいくら、パンツのこの枠でいくらみたいな値付けにする。基本だけどマジで大事っすよね。こういうの決めとかないで、社長さんが暴走したとしても、それはちゃんとそういう区分けをしないジム側も悪いと思う。
そのうえで、社長さんの心を満たす場としては、クローズドな打ち上げやら謝恩会やら、場合によっては選手と表敬訪問したり社長さんの会社のイベントに出席したり、そういうのをやっていくわけっすよね。そこで、社長さんの経営哲学だったり、ジムや選手の運営方針だったりを思う存分語っていただいて、しっかり気持ちよくなってもらう。打ち上げなどでは話の交通整理不足や聞き手不足が生じるかもしれませんが、まあ、そういうときは小銭を惜しまずそういうのが得意な芸能人を必要な人数呼んでおきましょう。酒を注がれる側でなく、酒を注ぐ側でしぶとく芸能界を生き残ってるような人たちはこういう場で本当に頼りになります。
ここで重要なことは、①そうした社長さんの心を満たす場は、原則としてクローズドなものを設けて、②一般のファンの目に触れるオープンなところであんまブイブイせんでくださいねという誘導をすることです。
一般のファンはね、やっぱり、ボクシング、ボクサー、ジムに対して、一本独鈷、こぶし一つの孤高の存在みたいな幻想を抱いてるんですよね。自分らみたいな小市民とは違うみたいな。
それなのに、一般のファンの目に触れるところで社長さんにブイブイやられちゃうと、ああなんだこのジムなりボクサーなりは、この会社さんのテコなんですかってなって幻想が破れちゃう。それじゃあねえ、やっぱり大衆は燃えらんないすよ。
そうなっちまうと、肝心のコンテンツ自体の魅力が無くなっちゃって、ますます特定のスポンサーに依存するしかなくなるし、もちろん最終的には破綻しちゃうんすよね。
だから、集めたスポンサーを廻すことが、格闘技の会長の一番大事な仕事だと思う次第です。
そんな話。

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