斉藤勝久の「麻雀バカ一代」記 第4章 

 新人とは言い難い俺よりも遥か年上のヤギさんが、この店で働きだして一週間が過ぎた。ヤギさんは、その僅かな間に従業員の間で数々の伝説を築いた。
 年上と言ってもヤギさんは、まだ20代後半である。しかし、この店の従業員の中では一番の年長者だ。マネージャーのアンちゃんが続いての年長者なのだが、まだ26歳。早番のマネージャーが須藤君で俺の同級、まだ20歳である。しかし、須藤君は業界歴が5年という。 
 中学を卒業して直ぐに年齢を偽り、雀屋で勤めていたらしい。そこで実年齢が18歳の時に、その店では主任を任せられるほどになる。その時に今の店のオーナーと知り合い、この店に引き抜かれた。そんなこともあり、俺と同級とはいっても店では随分なしっかり者であった。だが、俺とは同級ということもあり、この店では一番親しい友人となっていた。

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