見出し画像

前原が赤を切る理由、沢崎が7を切る理由

達人戦、ご視聴いただきありがとうございました。
全体的に感じていることは私の麻雀は公式ルール寄りの麻雀をしていて、打点が安くなってしまうことです。前原、沢崎共に赤をうまく使い、跳満をつもることが多く
「なんでこんな手で、3000点も払わないといけないのかよ」
と感じたことこそが公式ルール慣れしすぎてしまっているように思いました。
そんな中で立直せずに
「ツモ、2000、4000」
などと言っている始末。前原、沢崎には
「古川さん、それはないよ。リーチだよ。」
と内心思っているのだろうなと感じています。
+50をイメージして戦っていたのですが、凡ミスの放銃もあったりして、成績をまとめることができなかったと考えています。

沢崎はプロの通う雀荘のジャンボーイ(麻雀店の店員を昔はこう呼んでいたのです)のチーフをしている時代があったと記憶しています。その中でも自信を持って対局していたことを覚えています。赤が流行り始めた時代だったはずです。
沢崎のことついては他にもたくさん書いたので是非一読ください。

前原も赤アリの麻雀をしっかりやりながら、赤アリ麻雀の経験を上手く公式ルールに取り入れて対局していると思っています。ガラクタリーチがあるからこそ、本手もリーチをする。ある時には5巡目のリーチ、軽いかと思ったら、倍満の手をリーチしていた…。前原だからこそできる…というか、前原ならばしなくてはいけないリーチなのだと感心した記憶があります。だからこそ、前原のリーチには独特の圧力、恐怖感と言うものが存在します。対局しないと分からない感覚です。
その恐怖感を払拭するため、前原のリーチは読みにくいため、一度タイトル戦の時に
「前原のリーチには全ツッパするかな!」と吹いたものです。
(もちろん、今はこんな卓外戦術はしてはいけません。昔だからできたことです。)

伊藤優孝は成績を見たり、これまでの同卓の感覚として、達人戦ではついてないように感じています。しかし「死神の優」ですから、油断してはいけない…と思っています。
伊藤優孝のことについてはまた記事を書こうと思っています。楽しみにしてください。

前原や沢崎はMリーグで赤入りのリーグ戦をやっていると改めて聞き、赤入りのリーグに慣れているのだなとも思いました。
達人戦の相手は全員が強い!
なんとか食らいつき、6位に残り、決勝に残れたらいいなと思います。

さて、ピックアップする局は
1、1回戦の南3局1本場
2、1回戦南1局1本場
それぞれ、あたり牌を止めたところについてということです。
私としてはちょっと頑張った程度のことですが、高く評価をされているようですのでさらに詳しく説明しようと思っています。1番は無料で公開し、皆さんに広くアピールし、2番は有料とし、私の麻雀を評価していただける方から、お小遣いを提供していただければ嬉しいです。

赤は時にドラ以上に光牌になる

一昔前のインタビューで
「牌が光って見えた」
などと言ったことが話題になったことがあります。少し前の対局であたり牌をビタ止めした時に説明するのが難しくけむに巻いていったことですが、後日後輩プロから
「どのように光って見えるのですか?」
と言われて、慌てて
「本当に光ったわけじゃないよ」
と説明し直したという記憶があります。
このような第六感的なものではなくて、あまりにも目立ちすぎる捨て牌のことを「光牌」と言います。
達人戦のメンバーは全員この「光牌」について共通意識を持つことが多く、その光牌に気付いていない時や気づけない人に「できてないな」と言うことがあります。
今回の赤切りは明らかな「光牌」になっています。おそらく全員が光牌になっていただろうし、前原自身も光牌になることをやむなしと思って捨てているはずです。

前原と長く戦ってきたからこそわかったことでもある

前原の赤切りは目立ちます…
ここで1を捨ててしまうといかにも前原の注文相撲にハマりそう
前原のポンに一番強く勝負することを考え6としたが…。

先ほど書いたいた通り、前原は赤入りルールでしっかり鍛えてきた打ち手。
赤を切る以上はそれなりの手牌が構築されているだろうと思いました。索子周りで赤を切るパターンの定石として、今回のように235(赤)か5(赤)78の2パターン。
前原のように直進的に手を作ってくることを考えた時に索子の1と6のどちらかは通すものだと考えていました。69と14の差というものは頭で考えれば差はありませんが、なんとなく14の方があり得そうだなというのが第1感です。
そして、6が通ってしまった以上、索子が当たるとすれば14待ちしかないということです。この時に前原に対して、沢崎はマンズを強くプッシュしていき、リャンメン待ち候補はドンドン少なくなったことで、さらに索子の14待ちの確信は深めていったことになります。

ポン聴だろうと思っていたけど…

現物が増えていき、新たな手出しがないとすれば、14読みでいいでしょう

この後に前原は引き上がって1,000、2,000。
牌姿を見た時に予想が当たって何よりと言うところでした。
予想が当たったことはポン聴だったと言うことも含めています。
巡目や、場況、自分の手牌ということは関係なく、
最初に「前原が赤を切った」から
→「整っていて、それなりに打点があるかもしれない」
→「もしかしたらポン聴かもしれない」
→「前原にはある程度勝負しよう、6は通す」
→「6が通った、赤切りソーズ待ちは14しかない」
→「索子14以外のリャンメンの候補はどんどん消えた、索子の14待ちは確信できる」
言葉で説明するなら、このような内容を読んでいたことになります。

感覚というものはもっとシンプルなもの

しかし、このような考え方をしているのは達人戦世代ではまだまだ半人前。
「前原の赤切りは14しかないでしょ」
ぐらいな感想しか持っていません。感覚というのはこのように言葉にするならば、この程度しか出てこないものなのです。追って説明するのは難しく、インタビューやスタッフに説明する時にも追加の言葉を出すのに苦労します。私達は感覚を鍛えるために麻雀を打ってきた世代です。その感覚を素直に信じるため、精度を上げるために研さんしてきたのです。我々達人戦の世代の麻雀というのはそういうものです。

時代が変わったかもしれないが、感覚派の後継者は少ない

皆さんには1止めしたことを喜んで頂いたようで嬉しいのですが、これぐらいはできてほしいというと皆さんにハードルが高くなるのかもしれません。しかし、将来トッププロを目指すという方にはこのような感覚を磨いて欲しい。
達人戦世代は感覚として、人読み、場読みとツキ読み、その結果としての牌の読みというものを非常に大事にした世代です。
感覚を磨き、その感覚を信じているからこそ、決断を迷わない。
逆に迷うのは感覚を信じていない、感覚を磨いていないことになります。
A1リーグや他の対局で下の世代がマゴマゴと打牌を迷っている時に、こっそりと小さくため息をつきながら嘆いていることはこういうことなのです。

感覚というのはズレることもある

感覚ばかりの話をしていていますが、時に感覚がズレる時もあります。
ですから、感覚を大事にする時には
・対局の日の感覚にズレがあるかを見極めること
・感覚のズレはどのようにしたら防げるか、点棒、ツキに影響させないか
も考えてください。そして、感覚がズレた対策のためにも沢山麻雀を打ってください。

ここから先は

2,296字 / 6画像

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?