カフェの聖霊

このカフェのどこかで、聞こえる


俺を呼ぶ声?

昔生きてた聖霊の呼び声が、カフェのどこか、、

厨房?の空間から聞こえる。


耳障りだと思ってやってきたが、今回は違う!


今日はこいつと、踊ってやらー!


ひそひそがやがやと流れる音は耳に入りそのなかに聖霊の声も混じっていて、




ひとりで引きこもってるときはまったく聞こえない。



俺はこいつを、つかまえたりしない。






一緒に踊るよ





グレーのラッパのよーなズボンの端から出ている爪先を小刻みに動かし、



さぼっている俺と一生懸命な俺が踊る。



踊るこの部屋の端のほうから流れる幻聴のような声を、




俺の爪先で描き出すように踊る。




楽しくなってきた。





聖霊も喜んでいる。



聖霊も踊り出すのが見えて、49年生きてきていちばん楽しい瞬間に出会う。



心が落ち着いているのとは反比例して、体はゆれる、ゆさぶられる。




踊る仲間たちや子羊に目配せをする暇もないほど、夢中になっていた。


よく、偉いひとが言っていた、夢中になれという声はいまはもうどうでもいい、

夢中というマンホールのど真ん中に入っている自分がいるから


幻聴に耳を傾けてみる

「うるせー!



ちらかすな!


だめもとだ!


踊るな!



てめーでなんとかしろよ!






踊りを止めると聞こえてきた。



踊り足りないんだ!



踊る。踊る。踊るなと言われたのは、ヤジだ。



野次馬も味方にするには、俺がエンターテイナーになるしかないんだ。



踊れ!踊りたい!踊りたい!黙れない!





グレーのズボンからハンカチが落ちて行く。





さよなら。





聖霊。

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