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第4話で面白さがわかった『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』

第4話が放送された時点で書いていたまとまらない感想です。

↓は5話まで見た段階で話しています。


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『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(以下、F&W)

まだ2話残っているけど、現時点で整理できたことを感情的に少しだけ。

一言で言うと『F&W』(もしくはフェーズ4通して?)は『Endgame』のやり直し=インフィニティ・サーガのやり直し。という解釈を推していきたい。

まず、この作品は完全に「キャプテン・アメリカ4」。ヒーロって何?/正義って何?/シンボル・象徴って何?/キャプテン・アメリカって何?etc…と真っ向から対峙している。

また、アベンジャーズとして世間に知られているサムでさえ融資に苦しむ という、ヒーローの日常というほのぼのとしたシーンの中にも、Blipによる空白の5年間で生まれた軋轢やBLMというテーマが内包されている。

急に人口の半分が消えた5年後に、過去に戻ってストーンを集め、Blipし直して人口を元に戻し、MCU史上最大の大団円で幕を閉じた『Endgame』。
やりたい放題にしたAvengersのご都合主義もエンタメ作品として許せるところはあった。

しかし、MCU世界線では確かに生活があり、人々が消えたり戻ったりすることに悩まされ、ヒーローが戦うことで被害に遭う人が多数存在する。
ニューヨークで暴れ回ったけど、勝ったから「我らがAvengers!!」と称賛された時代はもう古い。

MCUは今まで築き上げてきたヒーロー像を、自ら破壊し、再構築しようとしている。

それに加えて、難民・移民問題、BLM、貧困、etc…もカバーしているという余念のなさ。

そして今特筆すべきは、EP4のラストシーン。
2代目キャプテン・アメリカ(ジョン・ウォーカー)が盾を用いて徹底的に敵を殴りつけ、盾を赤色に染めたとてもショッキングなシーン。
これは正義の象徴とされている存在が「もう抵抗できない相手を過剰に痛めつける。そしてそれを周囲の人がみている(撮影している)。」という点で完全にBLM以降の作品。ミネソタ州の事件を意識している。だからワカンダが登場するのも必然だし、ワカンダ代表がドーラ・ミラージュなのも問題意識の高さが窺える。そこにブラックパンサーという黒人の巨大なアイコンがいないのを無理やり解釈すると、黒人がBLM以降を乗り越えていくのではなくみんなで乗り越えていく姿の提示につながるかもしれないという希望が見える。

それから、「流血が解決策ではない」というこのドラマのテーマの一つを象徴するシーンにもなってるし、正義の象徴の盾が血で染まるシーンとそれをみている群衆は、ヒーローの信頼喪失を物語っている。思い返せば、『スパイダーマン:FFH』でも、『ワンダヴィジョン』でもヒーローの信頼が損なわれていて、フェーズ4ではそこを徹底的にやり直すのかな?というのが見えてきた。既存のヒーロー像をぶち壊して新しいヒーロー像を提示。そういう意味で「Endgame」のやり直し。ひいてはインフィニティ・サーガのやり直し。

他にも、「超人血清を打てるなら打つか?」というジョン・ウォーカーの質問に対する、レマーの「力によって自分の本質が出るだけ」という返答でジョン・ウォーカーは血清を打つことを決意している。そのレマーがやられたことによって、血清の力は「徹底的な暴力」という最悪の結果になったという皮肉。そして、黒人のアベンジのためにミネソタ州を彷彿させるシーンを再現することになったという痛烈な皮肉があのシーンに込められているのではないか?また、犠牲になった人物はかつてキャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)に憧れていたという…

各キャラクターが背負っている文脈をちゃんと整理することで、今の世界の問題意識が把握できるかもしれない。

これからの作品は『F&W』を通過しないと作れないんじゃないか?
それくらいにハイコンテクストで傑作。


ちゃんとまとまっていないけど、とりあえず。

GW中には全体をまとめたいなぁと思っています。


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