見出し画像

【月1連載】言葉使い学園【言葉の企画2020】

レーワ2年、宇宙船地球号に奇跡が起こった。

この事件は後に『光冠の奇跡』と呼ばれるが、なんとこの星に住むすべての人類に魔法の素質が顕現したのだ。

その魔法は、口から出す言葉に『想い』を込めることで、聞き手に『共感・勇気・楽しい』といったポジティブなエネルギーを与えることが出来るというものだ。

逆に『想い』を履き違えてしまうと、聞き手に『怒り・不安・痛み』といったネガティブなパワーを与えることもできてしまう。

各国政府は使いようによっては兵器化してしまう恐れがあるとして、正しい言葉を扱える『言葉使い』の養成が必要と判断し、学園の設立を要請した。

これは日本の『言葉使い学園』で繰り広げられる、
【言葉と絆の物語】である。

画像1

「諸君!入学おめでとう!!」


定員100名が着席できるこの大きな教室に、もっと大きな声で挨拶が響き渡る。

我が校の校長先生でありながら日本国内有数の実力派言葉使い、アベ・コータローさんの声だ。

「今日から諸君には一流の言葉使いを目指してもらう。それも半年間で、だ。心と体が思わず動いてしまうような言葉が使えるよう、切磋琢磨していこう!」

「「はい!!」」
総勢100人の企画生の声が教室に響き渡る。
この学校では生徒を『企画生』と呼ぶ。

「すごい熱量だ、この日をどれ程待ち望んできたかがわかる」
僕-マエカワ-は皆の気合の入った声に圧倒された。また、事前に聞いてはいたが言葉を専門に取り扱う職業の企画生もいるらしい。
僕はそんな人たちと肩を並べているのだ。

「そして諸君、我が校では入学式初日から早速授業を行う。この学園に受け身な人はいらない。ひとりひとり、進んで参加する意識を忘れないように。
今日は大事な2つのことを伝えるぞ。

見聞きしたことはしっかり自分の中で咀嚼して理解に努めるように。
みんなで言葉の力『言力』を高めていこう」


画像2

【言外の情報を意識すべし】

伝えたい『想い』をそのまま表現するのではなく、聞き手が無意識に思い浮かべる情景を言語化することでより深い共感や理解を伝えることが出来る。


これを実践するためのとっておきの呪文がある。

画像3

①『ソモソモ』で、その言葉自体の意味を今一度考える。
その言葉はソモソモどんな意味なのか、を考えることでより具体的に『その言葉の本来の意味』に立ち返ることが出来るぞ。
辞書で引いたり、語源を知ることは『ソモソモ』を考える上で重要になることを覚えておこう。
例だが、『素敵』の言葉の成り立ちは『素晴らし過ぎて、敵わない』という意味からきているのが有力だったりする。

②『タトエバ』で自分の無意識のイメージを引っ張り出す。
無意識のイメージこそが言外の情報だ。
『素晴らし過ぎて、敵わない』という状況は君の経験上、どんなイメージだろうか?
何個でも構わない、自分の頭にある限りの情景を思い浮かべて言語化してみよう。
それらは全て無意識のイメージで、言葉と心を繋げる鍵になる。

③『ツマリ』で無意識の本質を言葉にする。
複数の思い浮かべた情景、それはツマリ何なのか?
自分にとってそれらの情景の中で大事なものは何なのか?
しっかりとドリップしよう。

ツマリでドリップした言葉には『人間味』がある。そしてその言葉が相手の経験と重なった時『伝わる』ことを覚えておこう。

ソモソモどんな意味?⇒タトエバどんな経験?⇒ツマリ何が大事なのか?

広義の辞書と、経験の辞書、両方の辞書を引きまくり、伝わる言葉を作っていこう。



【幸福のヤジルシを会得せよ】

物は言い様、でどんな言葉でも『ワクワク』『ドキドキ』する表現にすることが出来る。代表的な例で、東京オリンピックのボランティアは『フィールドキャスト』と命名され、応募者に誇りを与えた。


この言い換えを実践するためのとっておきの武器がある。

画像4

ヤジルシは幸福に向かう必要がある。
A『ではなく』B
A『だからこそ』B
A『なのに』B
これらは全てAでもBでも表現できてしまうことだが、間違いなくBには『想い』が乗っている。その言葉に懸けている『想い』が表現されている。

そしてもう一つ重要なことがある、それは『ポジティブ眼』だ。
世界を変えることはできないが、受け取り方を変えることはできる。
さきほどのフィールドキャストも同様で、ボランティアという事実は変わらないが、『誇り』を応募者に与えた。

また、こういった言い換えは日常の中にも溢れている。
そういった幸福な言い換えに出会ったときには、しっかり記録しておこう。

『想い』が乗った言い換えには『ストーリー』や『世界感』があるように思う。自分もその世界に飛び込みたい!と思う言い換えを行っていきたいものだ。

画像5

『想い』の集まる場所

僕は今日、言葉使い学園で多くの企画生とディスカッションを行い、
『想いと想い』のぶつかり合いをみた。

それはそうだろう、『言葉』を考えることは自分の記憶から経験を引っ張り出し、想いを乗せて、相手の心と繋ぎ合わせることなのだから。

100人全員が100人全員と繋がり合いたい、想いを伝えあいたいと思ったとき、一体どれだけの言葉が、絆が、企画が、生まれるのだろうか。

僕もこの半年間、死ぬ気で勉強していこうと思う。
そしてその間、常に言葉には『伝える相手』と『伝わる内容』を意識する。
言葉は心と心の橋渡しをしてくれる。あぁ、ワクワクしてきた!

早速課題も出ていることだし、頑張ろう!
次の授業が楽しみだ。