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【ネタバレ有】VIVANT感想:TBSオリジナルの最強IP爆誕!テレビの希望を見た

敵か味方か、味方か敵か。

このコピーがVIVANTの端的な面白さを言い表していると思います。凄い。

VIVANTを途中(5話くらい)から追っかけで見始めてどっぷりハマってしまったまひくんです。ドラマは話題作だけ見るミーハー野郎なのですが、例によって話題作にハマってしまいました。最終回、ご覧になりましたか?めちゃめちゃ面白かったですね。面白すぎて研究の手を止めてnoteを書いています。流石にヤバいけど止められない。

最終回の感想を書いていきます。とりあえずいっぱい書いて、後から加筆修正すると思います。放送を見ている前提で書いていくので見ていない人はブラウザバック推奨です。


まずネタバレしない範囲で記事タイトルの話から。

NetflixやHulu、Disney+などネット配信ドラマ全盛の時代に求められるのは大きな集客が見込める映像コンテンツです。今回のVIVANTは主役級の俳優を数多く揃えて、モンゴルでの大規模な撮影を行って、そこまでして作ったTBS、福澤監督の本気作。大金を費やしてまでこのドラマを作る意味、その1つはオリジナルのIP(知的財産)を持つこと。これがあるとテレビ局としてはめちゃめちゃ大きいですよね。今回のVIVANTはテレビの規模でないとなかなか作れないスケールの大きさですし、インターネット配信全盛の時代にこの作品を「テレビで」世に投じたのはこれからのテレビに希望を持てます。テレビが好きな人としてとても嬉しいです。「日本発」のドラマでこれほどの作品が生まれたのもまた嬉しいですね。世界に向けても大々的に配信してほしいです。


ここからネタバレ有りです。




さっきの話の続きです。

終わり方が、今回の話が一段落はしつつも、まだまだいくらでも発展させることができる終わり方だったのが、視聴者として嬉しかったです。勿論TBS的にはこれ一回きりで終わらせたくないはずなのでVIVANT制作の計画段階で続編を制作する考えがあったのだと思うのですが、ここまで面白かったらまだまだ続いてくれ!!と思ってしまいます。ありがとうです。純粋に話の続きでも良いですし、黒須やノコルを主人公にしたスピンオフを作ってもいいですし、ベキを主人公にした過去の話を作ってもいいですし、お話の広がりの余地が止まらないです。


ここからは最終回の感想。最後の最後まで視聴者を釘付けにする仕掛けが満載でした。

まずTVerで配信されていた公式のヒントの答え合わせとして、2話の野崎の行動が西岡大使の監視のためだったこと。当日の「敵だと思っていた人が実は味方」というヒントもあって、この展開はなんとなく想像できていました。寝返(られ)るなら西岡大使なのかなと。テント内の内通者がゴビなのも想像通りですね。西岡大使を野崎が監視しているということは公安も絡んでくるだろうし、別班×公安×テントが一気に味方になるシーンはなんとなく想像できていましたが、そこにバルカ警察まで加わってくるとは…チンギスの背景にテントがあったのは驚き&激アツでした。

フローライト争奪戦に関してはなんとなくこういう展開になるだろうなと思っていましたが、一番気になっていたのはVIVANT(おそらくシーズン1)をどのように終わらせるか、ということです。これに関しては全く想像できませんでした。どう終わらせて、どう納得させてくれるんだ、と思っていましたが、想像以上の超展開でびっくりしました。少しずつ振り返ります。

まず、ノゴーン・ベキとの別れ。テントを、孤児院を、バルカを守るためにベキを差し出さなくてはならないという悲しすぎる展開に心が痛くなり、バルカ政府側を出し抜くことに成功して一件落着かと思ったら、さらにもう一展開!明美の「復讐して」の言葉が消えて無くなることがないだろうとは思っていたものの、この言葉を回収していないことなんてあまり頭にない中で、逮捕されて来日→公安側のモニターを利用して脱獄→家族を人質に取り見捨てた真犯人を復讐、という流れは怖すぎました。無理くり超展開にしているのではなくて、ちゃんと辻褄が合っているので納得しかない。

ネットの考察を聞いてさらに納得したのは、明美の「復讐して」という言葉に忠実にベキが起こした行動を、明美が産んだ憂助の正義感と任務で止めたことで、復讐してほしい明美も納得できる形で復讐を止めることができたこと。凄すぎる。孤児の救済に成功しても尚、復讐心が消えることはないというシビアすぎる結末も含めて。

「復讐して」の相手が最終話にして初登場の上原副長官(橋爪功さん)。年齢的にベキよりかなり年上なので、キャスト一覧を見たときに復讐相手候補がいなくて、誰にどう復讐するんだろう、復讐せずに終わるんじゃないかとなってしまい、だからラスト30分の展開が読めませんでした。視聴者を弄ぶのが上手すぎます。いや、誰かしらいるのはそりゃあ分かっていましたけど、その復讐心を最後の最後に持ってくるか!というサプライズに痺れました。

ヒント2つ目の、乃木がジャミーンに会いに行った話で、恐らく乃木がジャミーンから何か情報を得たのだろう、多分ベキについてだろう、というのもなんとなく想像はついていました。ハッキリと、ではなく、なんとなくです。説明しろと言われたら多分できなかった。ノコルを詰めても吐かないだろうから味方すら裏切ってまで潜入した、潜入してまでベキに会いたかった、そのきっかけの1つがジャミーンとの会話にあった、これも納得です。

ノコルの役も素晴らしかったですね。ノコル自身多分かなりちゃんとした教育がなされていてそれなりに優秀な子に育ってはいたけれども、乃木ら別班、野崎とかと比べると見劣りするから相対的に無能に見えちゃって、すごく感情移入してしまうキャラクターでした。二宮さんの演技も含めて素晴らしい。

黒須もめちゃめちゃ良かったです。別班員すら裏切って、櫻井と乃木だけの作戦で実行した裏切り潜入。黒須が生きたまま捕らえられたのはわざとではなく、自らの能力で凄腕の乃木の射撃を回避した、というのが熱かったですね。そのせいで何も知らない黒須を巻き込んでテント潜入が始まってしまったんですけど、二人の信頼関係が回復してから、やっぱりカッコよかった。

ヒント3つ目の、日本にいるテント側のモニターが新庄だったこと、驚きです。いや、今思うと公安にしてはポカが多いなというのはありますけど、乃木、山本を逃がしたことが新庄が別班なのでは?というミスリードに働いていて上手いなあと思いました。色々怪しい点が多かった新庄の一つ一つが納得できると思います。モニター候補筆頭だった(自分もどうせこいつがモニターだろうと思っていた)長野専務が最終話に一切登場せずただの不倫おじさんで終わってしまったのは拍子抜けですが、これは今後のお話の作りしろな訳ですからね。今回は関係なかった、というだけでしょうね。

最終回を終えて残った部分は主に、ベキら3人が本当に死んでしまったのか、「奇跡の子」ジャミーンが野崎に懐かない、薫について諸々、らへんですかね。ジャミーンが懐かない理由は野崎がテントを捕らえようとしている→テントに良くされていたジャミーンにとって良い存在ではないからという説明ができなくはないのですが、ちょっと説明が足りないような気はします。「奇跡の子」についても同様です。ベキ、バトラカ、ピヨの3名はお話的に生きてそうですよね。漢文もそんな雰囲気でした。薫についてはまだちょっと怪しさが抜け切ってないです。個人的に薫は乃木の帰る場所なので裏切る展開にはなってほしくないと思っていましたが、薫の怪しい行動が完全に払拭されることはなかったです。これも続きがあるのでしょうか。これ以外にも細かい点は色々ありそうです。


視聴者を大いに巻き込んだ超大作でした。考察ドラマにするつもりではなかった、という話が公式にされていても、視聴者が勝手に考察し始めてしまうほど考え甲斐のあるよく作り込まれたドラマです。考察ドラマは考察がエスカレートして大抵の結末が想定できてしまったり、予想していた展開にならなかった時に物足りなさを感じてしまったりして、考察の楽しさの反面お話を相当作り込まないと粗が見つかってあまり面白くなくなってしまう、という側面があるのですが、これだけ考察されてちゃんと面白かったのが凄かったです。このドラマがただの考察ドラマでない理由は、大オチが「犯人が誰か」ではないことが大きかったと思います。だからこそこの物語の着地点が全くわからなくて、多くの視聴者にとって良い終わり方になっていたと思います。ドラマが面白いのに考えすぎてがっかりしているような奴はこういう楽しみ方をしちゃいけない。

最高でした。テレビまだまだできるぞ、という気概を感じました。VIVANTには「生きている」「活気がある」というような意味があるそうです。日本のテレビドラマはまだまだ生きているぞ、という希望を自ら示してくれるような作品だったと思います。今後の展開も要チェックです。


ちなみに僕がVIVANTで一番好きなシーンは、太田がハッキングがうまくいかずにイライラして台パンしたシーンです。良い台パンでした。

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