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「ことばの学習」実践からみる聴覚障がい児の学び#3

ことばの学習というのは色々な方法があるし、内容も出来ることはたくさんありますね。その中でも重視していることは何か。私は以下の3点に絞って取り組むようにしています。(担当しているお子さんのニーズによって、計画しているため個人差があります。)

【STEP1】語彙の数(手話表現)を増やしながら、引き出しをもつ   
【STEP2】助詞の使い方を正しく身につける
【STEP3】相手に伝えたいことを正しく説明するようにする

 この3つの内容それぞれを重視に今後、細かく執筆出来ればと思いますがこの3つの内容は、きこえない子どもたちにとって一番難しいのではないかと考えます。聾学校の現場では実践することがよくありますが、正直言って手話言語を使い、かつ手話言語を教えることを正しく理解していない限り、時間がかかるような苦労する指導法の繰り返しになるものと私は考えます。

手話言語を使えばこの内容が身につけるという姿勢で教えようとするきこえる先生方が多数いますが、その方法も決して否定とか批判することはしません。ただ私から見るとこれがきこえない子どもたちにとって適切な指導なのか。という疑問と強制に覚えさせられるように苦渋な気持ちで楽しく受けられているかどうか。これが子どもたちの評価として、厳しいのではないか。とご察しします。私自身の経験でもあまり楽しくなかったし、苦労した気持ちのイメージでことばを色々と身に付けてきた印象しかありません。

 そのため、オンライン授業で受け持った児童生徒には保護者からの願いとして「授業を楽しく受けてもらいたい。」「日本語を上げるようにして欲しい」が達成されるよう、気をつけていると同時に自己認識として手話言語を教え、かつ正しく使うことによって日本語力が身につけるようになるという姿勢を作るように心掛けて日々、試行錯誤しながら授業を実践しています。

今回は試行錯誤する中で、気付いたことを1つ挙げてみる。

生活の場面で普段、会話する、言葉を発する時終わりが短く区切ることってありますね。でも書記日本語で文を作ったり、資料など文章をまとめる時に以下のような違いがありますね。

「私はサッカーができ。」
「私はサッカーができます。」

ここでは動詞「できる」を言い換えた使い方ということを手話言語で表現するならどうしますか。とあえて児童生徒に考えさせるようにします。するとSくんはこう答えます。

「できる」→<できる/(顔を頷く)>
「できます。→<できる/(指文字で「ます」と表す>

 みなさんだったら、どう考えて表現しますか。普段どのようにして表現していますか?ということは、答えが正しく決まっているわけではないんですね。人それぞれがどのような背景で自然的に表現するかによって、みんな共通しているわけじゃないと考えます。

 ですが、ここでいう終わりの表現に違いを分けておくように留意しておくことで、次に書記日本語で違いを理解した上で書けるようにするということを私は意識した方が大事だと思っています。手話表現が同じなら、書記日本語で書こうとすると2つの違いを理解出来ず、使い方を間違えるのではないか。と想定して気を付けている。実際に私自身、この2つの違いをどうやって覚えたのかははっきり記憶にない。でも言えることは、過去(終わったこと)と現在(やっているところ)の違いで繰り返し叩き込まれたという渋い経験がある。これが手話言語で視覚的に分かるようにすれば、一瞬で理解できるのではないか。と考えたわけです。

まず<過去ー現在ー未来>というキーワードを板書してその下に動詞を並べてみる。そして動詞の使い分けを手話言語で、一つ一つ学ぶようにした工夫を実践した。次に<長い形><短い形>の2つに分けてどのように書くのか。という書記日本語の正しい書き方を確認した。この時の様子がこちら

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このようなスライドを表示することによって、一つ一つ手話言語で<過去ー現在ー未来>の伝達が理解できているのかを意識しながら、書記日本語の確認をするように書く活動を同時に行なっています。

 書く活動を目視できるように、プリントをあらかじめ用意しておきたいところですが、オンラインなので離れたところできちんと確認取ることは難しいですね。そのため、オンラインならの目視で書記日本語ができることを確認できる方法をこの時から少しずつ模索するようになってきたのです。(ここで見つかった方法については、後日に触れていく予定。)

当分の間は、ノートに同じように模倣で書いてもらい、確認することに時間をかけていましたが少しずつ、指文字で表現する手間が省き相手にわかるような終末表現がしっかり出来ており正しく理解できたのではないかという成長が見られました。

できるーできない /  できますーできません

 この2パターンについて、手話言語でいうと似た表現になりますが、違いを見極めるのはNMMといった表情の小さな変化です。きこえる人が正しく教える、分かるということは当然、出来ないからここできこえない当事者がロールモデルとして指導することが、今回の最大のメリットである仕事だと実感している。