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きこえない苦労をプラスに変える

 ここで挙げる動画(第8回「卒後の障がい認識における問題〜就労編〜」)内は、私が非常にとても重要と位置付けているテーマの一つである。卒業が控えている3年生だけではなく、2年生の後輩たちにとっても改めて社会に出ることのキャリア教育の内容として考えて頂きたいと思って取り扱ってみたのである。

 ここで挙げる内容は、正直言って聾学校現場においては、授業に全く強く意識されていない。大人の都合によって、生徒主体で考えることがあまり経験少ないことを作ってしまっているので卒業生の多くは就職に出ていても長くは続かず失業を経験し、一度は転職するという。改めて聾学校の学びは「役に立たなかった」という残念な印象の声を持つことも存在している。私もその一人であり、大学に進学して良かったと思うこともある。

 そこで社会に出て大きく痛感したことを整理して、分かりやすく挙げてみたのでこれらは聾学校のキャリア教育としても重要な教材観として参考にして頂きたいし、きこえる先生方には改めて聞こえない当事者の苦労をもっと耳を傾ける姿勢で連携した授業構成を準備して頂きたいところである。以下、あるキャリア教育研修会に参加したときの一部である。

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   ここで議論したことは、とても有意義な時間であったが残念ながら、その学びを母校に活かされなかったことはとても中途半端な気持ちで申し訳ない気持ちでいっぱいだ。(※写真は、WSで私が入っているグループの発表内容であり、他グループより一工夫を加えていることが印象的だったので紹介する。)

 つまり、現場にはきこえる人の多数派の思考に押され、マイノリティとして自分が情けないところである。別の形で活かす方法としては、青年部活動であろうと考え、準備していきたいと思っている。また「デフフッド」においても一つの教材になるわけだから、もう少し自己研鑽を続けていきたいところでもある。これについては、非常に面白い記事があるのでそちらを読んでいただく方がわかりやすいかもしれない。(※松崎丈教授note「デフフッドを導入したろう教育の実践。」参照)

 とはいえ、卒業生の多くが共通していること。それはやっぱり、生徒に対してロールモデルの存在はとても有意義な教科書になると考える。特別支援学校だけではなく、普通学校にも同じことである。

 一般的に多く見る取り組みである「卒業生講話」という機会だけではなく、WSという対話の取り組みとして私は大学4年の時にエンパワーメント研修会に参加した。このエンパワーメント研修会のような形式の機会をろう学校現場にも参考にするべきだと密かに考えている。しかし、実現することはいつになるだろうかと。笑!

エンパワーメント研修会の一部を紹介する。(※写真は、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークPEPNetーJapan「第1回エンパワーメント研修会/各企画紹介」ページより2つだけ私が印象的に残ったことを引用した。詳細は、そちらのHPで読んで頂きたい。)

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 ここで得られた以下の参加者の感想では、私自身も同じ気持ちである。このような気持ちをぜひ高校生たちにも早いうちに実感していけることで、社会に向けた心構えが出来るようにしたいと思っている。懐かしい思い出でもあり、非常に有意義だった時間である。あの頃の一緒に参加した仲間ともう一度集まって研修会後の成長を意見交換したい。(元気に活かされているだろうか。中には、弁護士という夢を果たした参加者もいるね。)

「就職のことを想定した物足りなさのスキルを身につける事ができて変わりました」
「意外と自分、、、積極的でトコトンやれるということに気づきました。とってーも楽しかったです」
「大学で授業を受けるだけでは自分のニーズや将来のキャリアデザインをはっきり知ることができなかったと思う。未来のために大学でどうすべきか少し見えてきた」
「これからやるべきことがいくつか見つかった。目標ができた」
「自分の将来が明らかになってもっと勉強したいと思った。自分が苦しいだけではなく皆も頑張っていると分かった」
「就職活動に関係した漠然とした不安がこう対策すべき、何すべきか分かったことで、私の中にある迷いが1つなくなった」
「将来への道筋が見えてきた。ようやく、大学卒業後の進路に対して、自覚、危機感が出てきた。また、プレゼンテーション、分かりやすく説明するための方法を身につけたいと思うようになった」

  このような取り組みが出来る範囲としては、「総合的な学習の時間」や「自立活動」の時間内だけでは足りない。各クラスのSHR活動など日頃の生活において教職員がきちんと生徒と向き合う姿勢を保つことが重要な専門性の一つであると考えるが、ぜひそのようなことを一人でも多く増やして欲しいところである。今の聾学校現場には、物足りないということを厳しく訴えておきたい。実に残念な課題であることを知って頂きたい。