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【第16話】そしてまたフリーターに

「いやぁ、インドネシア人なんだし、これくらいでいいでしょ」

そんな声が聞こえてくるような契約書が作成されてきて、

「これ送っておいて」

と渡されました。

え、なに考えてるんだろう、今まで自分がやってきたことって「この人たちだけ」が儲かるようなめちゃくちゃなものだったんだ。

その会社がインドネシアに工場を建てようとしていたので、そのためにぼくはインドネシアの方でも色々な人を巻き込んで、色んな人たちと協力して、もちろん日本の方でも色々と進めながら必死で頑張って来ました。

その努力が、こんな傲慢な、自分たちだけが得するようなものを作り出すために走らされてたんだ、ってところがわかった時には、もうその会社で働く理由はなくなり、社長に辞表を差し出しました。

「え、なにこれ。受け取らないよ。何言ってんだ!!このためにどれだけお金を使って来たと思ってるんだ!!」

そのあとも色々と言われていたと思うのですが、もう何も聞く耳を持たないと思ってしまったのでその時に言われたことはあまり覚えていません。ただそのあと半年間くらい辞めさせてくれなかったことだけは覚えてます。

その1年間もぼくは無駄にはしたくはなかったので、言われたことはきちんとやり、必要以上に頑張りすぎず、定時で上がり、コーヒーの方により注力をしていき、4校も通っていたコーヒーの専門学校も卒業出来て、今度はどんなコーヒーが実際に日本人に売られているんだろうだったり、喫茶店・カフェビジネスってどう回ってるんだろうだったりというところを勉強したくなり某有名コーヒーチェーン店で副業を始めてました。

もう一つ、自分にとってのとても大事なこと(これに関してはまた後日お話させてもらいます)が達成出来たので、そろそろかなと思い、再度社長に辞表を出そうとしましたがもう話すらしてもらえませんでした。

もう我慢ならないな、と思いその会社の会長さんも良くしてくれていたので、相談をしにいきました。

「すみません、会長。
少しお時間いただいてもいいですか?」

「おう、なんだリノくん。
どうぞ、入ってください。」

「実は社長に何度も会社を辞めたいと言ってるんですが、話すら聞いてくれないんです。どうすればいいですかね?」

「ほう、会社を辞めたいと。なんで辞めたいと思ってるの?」

「実は日本でコーヒー屋を出して自分の淹れたコーヒーを日本人の方々に飲んでもらいたいと思ってるんです。そのためにこの会社で働きながら4つのコーヒーの専門学校に行ってちゃんと卒業しました。なのでバリスタの資格も持っています。」

「へぇそうなんだ。そこまでコーヒーをやっていきたいと思ってるんですね。具体的に出店計画とか立ててるの?」

「いや、そこはまだ出来ていなくて、いまできるところを探しているところです。そのために本当に申し訳ないんですが、某有名チェーンのコーヒーショップでもアルバイトをさせて頂いていて。」

「バリスタの資格まで取って、しかも日本のコーヒービジネスを学んでもいて、よっぽどコーヒーで生きて行きたいんだね。よし、わかった、社長にはぼくから言っておくから。ただ今月末まではしっかり頼むよ。」

そして、会長とは熱い握手を交わし、ようやく、その会社を辞めることができました。

さて、コーヒーだけに集中できる時間が遂に出来て来ました。ここからはコーヒーだけ、やっていこうと思ってはいたのですが、人生ってそううまくはいかないですね、また色んな障壁が目の前に立ち向かってくることになるのです。

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★MAHAMERUコーヒーとは?

NHKにも出演したオーナーのリノが運営する松戸のインドネシアのコーヒーのみを取り扱ったカフェです。

住所:千葉県松戸市本町6-8平野ビル1F

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