インド映画『RRR』感想②(主にビームさんのこと)

↑の続き。ネタバレあり。


 そしてそして外せないのが"ナートゥをご存知か?"。こういう、都会で苦労してる人が故郷の祭りやビートに触れて生命力を爆発させる話大好きでして……『村上海賊の娘』の村上吉充が大好きです。ダンスも音楽も歌詞も不敵な格好良さがあるのが最高です。「まぁ聞け」の小慣れた感じや、「あるいは唐辛子入りの雑穀パン」の訳わからないんですが民謡にありそうなやけに具体的な描写、「刺激強めなインドの歌」の故郷への誇りとちょっとの煽り。ああもう歌詞が最高すぎる。あと滅茶苦茶早口で歌うのも好き。テルグ語が詩に向いた美しい言葉というのには納得。「ドゥッムドゥッム」とかずっと聴いていたい。この後の「コムラムビームド」もですが、3拍子系なんですよね。3拍子が似合うくるくる回る言語格好良すぎる……!!ダンスと音楽も格好良いんですがまだ全然理解しきれてない!
 その中で今まで優しい笑顔か戸惑いの表情が多かったビームさんの、不敵な格好良さに痺れます。踊り疲れたジェニーを休ませないの、可愛い我儘で本当可愛い。パーティーに兄貴に付いてきてもらったり、実は我儘なの本当赤ちゃんみたいで好きだ、大好きだ。帰り道おぶって貰ってるのも我儘可愛い、ああもうビームちゃん可愛いよ可愛い。そして流れるようにシリアスムードになるの面白い。

 ビームの弟分・ラッチュも格好良いんですよね。初めはドジ踏んでラーマに追われる身になってしまうけれど、捕まって拷問されても悲鳴は上げるけれど決して口を割らず、逆に危険を顧みずに毒蛇でラーマに一矢報いる。最後にラーマとビームが仲良くなってて「?!?」ってなるのは不憫可愛いですが。

 スコット邸でジェニーがビームの瞳に言及しますが、本当に宇宙を覗いているような不思議な気分になる、しかし他人の心を思いやる温かな瞳……、うっとりします。そしてついについに、マッリとの再会!!!! 駄々をこねるマッリにビームが子守唄を唄うのがもう身に染みるように好きで、村では子供たちにビームが子守唄を唄ってくれていたのかなぁ、とか妄想が膨らみます。なんなの、戦士であり赤ちゃんでありお母さんであるビームさんはなんなの?!?!?
 しかし、こんなキュルキュルの瞳を持ちながら正体を偽って平気で過ごしてるからビームさんはすごいぜ…と一瞬思いましたが、よく考えるとラーマなんて叔父さん以外全員に正体を偽ってるし、この時代のインド人は誰も彼も腹に一物持ちながら生きていたんだろうな、と思い直しました。

 正体が割れた後の闘いは格好良いのですが、いかんせん仲良しな2人が好きなので辛いです。と言いつつ鞭打ちのシーンでは総督と同じ良い笑顔になってしまいましたが。
 鞭打ちのシーンのビームの歌が、今作中で1番感動した場面です。初めは「目的はマッリの救出なのに、何故そこまでして総督に屈しないんだろう? 反乱軍でもあるまいし」と思っていたのですが、ビームが歌の中で「自分は森の女神の子、だから誇りを決して失わない」と(意訳)歌っていて、ビームの根底にあるのは反感ではなく、使命とそして何より神々しい誇りなんだということが理解できて、もうなんだか、好きを通り越して崇拝する気持ちになりました。モブ民衆になりたい。ラーマ兄貴の戸惑いと葛藤と、そして神々しいものを見る眼がとても好きです。弟分が実は神様だった……好きすぎる。
 ここのビームさんが、他のシーンで見られる宇宙の如き広く深い瞳でなくなっているのは、身体の方がかなり死に近づいているからなのでしょうか。漫画でいうと目が白っぽくなって瞼が重く描かれるような。それでも森の女神の息子としての誇りを失わないために、自分に神を降ろして精神だけで耐え抜こうとしたのかもしれません。ゴーンド族を調べた時に「歌で神を降ろす」という記載があり、ビームさんとマッリの歌は神降ろしをして自分を手助けしてもらうための歌じゃないか…?!と鳥肌が立ちました。
 ここでラーマが使命と友情を兼ね備えた道を見つけてくれて本当に良かった……。ハピエン至上主義なので、万歳したくなりました。
 
 ビーム救出シーンで一番好きなのは剃刀の刃でカリカリ縄を切ってるビームですw この辺りラーマの死亡フラグがどんどん立っていって辛かったです。まさかこの逃亡シーンで終わりなのか…?!友のために命を投げ打つ男……😭と思わせてからのもう一展開!笑大好き!!
 本作で一番笑ったのは、ラーマが牢獄で懸垂してるシーンですwwwあれのせいで後のシータの涙ながらの告白にも懸垂がチラついて集中できなかったwwwしかし台詞は格好良い。責務は結果にあらず、行為にあり(うろ覚え)。息絶える瞬間まで自分の目指す方を向き続ける姿勢がめちゃくちゃ好きです。座右の銘にしたい。それにしても独房で天丼すなwww
 そして大団円へのスタートダッシュ、ビームとシータの邂逅!! 機転のきくシータも久しぶりに優しい顔を見れたビームも良き良きです! 取っておいた回想をビームへの説明にスムーズに繋げるのめちゃくちゃ技巧的で好きです。そして悲憤と共に立ち上がるビーム! 友情の復活ーー!🎉🎉🎉 運命が交錯したためにラストに向かって走り始める感じ、大好きです!

 独房の中のラーマが、ビームを見た時に驚愕と悲しみと畏れのような表情だったのが、昔のまま謝るビームを見ていつもの兄貴の微笑みに変わるのが本っ当に好きです……!!!そこからはもうサービスタイム!神話になぞらえるの格好良すぎる〜!!!爆発しまくりでやりたい放題w
 最後にラーマがビームに銃を渡したのは、同胞として共に英国と戦おうというメッセージなのですかね。そしてビームは受け取った。余す所なくアツイ。

 見終わると毎回ジーーーン……….として胸を熱いものが満たします。そして早くももう一度観たくなります。ああRRRが観たい。タラクさんとチャランさんの色んな演技が観たい。ラージャマウリ監督の他作品も観てみたい。テルグ語を勉強したい。そしてたくさんインド映画を観てみたい。好きなものが増えて、世界が前よりも明るくなる感覚のために生きている所があります。ありがとう、RRR!
 


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