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1994年、B'zとMr.Childrenと私。(2021年10月追記)

1994年3月、初めてB'zのCDを買いました。アルバム『The 7th Blues』。ハードロックのルーツを全面に出した、大人な雰囲気が詰まった2枚組のアルバムです。

1994年6月、初めてMr.ChildrenのCDを買いました。シングル『innocent world』。愁いを帯びたAメロBメロから疾走感のあるサビへ突き抜けていく、J-POPの金字塔のような楽曲です。

中学2年だった僕は2組のバンドに夢中になり、B'zとミスチルはそれぞれのやり方で音楽業界を席巻していきました。B'zにどっぷりハマったのはこのnoteでも書いてきましたが、ミスチルもアルバムを買い続け、ライブもチケットが取れる限り参加し、それは今でも続いています。

1990年代後半、B'zの音楽がハードロックに傾倒していくにつれて、ライトなB'zファンは減っていったように思います。CDを出せばオリコン1位になりましたが「固定ファンが買ってるだけやろ」の一言で片づけられることもしばしばありました。(僕は心の中で「固定ファンがめちゃくちゃいるのすごいやろ!」と反論していましたが、別に口にすることはありませんでした)

一方ミスチルは内省的な世界観を描くようになりますが、開放的な曲をシングルリリースすることで”みんなのミスチル”という存在になっていったと思います。

2000年代に入り、B'zは『ultra soul』を筆頭に”もがき続けることを讃える歌”が増え、ライブは男性客の割合が増加していきました。ミスチルは、桜井さんが2002年に病気を患って以降「人生は色々あるけど素晴らしい」という人生賛歌が増えていったように思います。昔、辛い恋をしていた女性の同僚が「ミスチルの歌は私にはまぶしすぎて聴けない」と話していたことを、ときどき思い出します。

桜井さんがBank Bandを結成し、フェスで様々なアーティストとコラボする一方で、B'zが30年間で対バンを行ったのはAEROSMITHとLOUDNESSのみ。

1994年に始まった僕のB'zとミスチルの道は、どちらも素晴らしい軌跡を残しながらずいぶん違う場所に辿り着いたような気がしていました。2021年5月14日までは。

2021年5月14日の午後6時、突然稲葉さんと桜井さんの対談がYouTubeで公開されました。僕は本気で仕事を早退しようかと思いましたが、ぐっとこらえて仕事を終わらせ、夜11時に帰宅してすぐにパソコンで対談を再生しました。

冒頭、桜井さんの「(B'zとMr.Childrenは)トーナメントの違うサイドにいる感じで」という表現がとてもしっくりきました。それぞれのやり方で戦ったきた2人が「歌う」というひとつの共通点で結びついたことは、本当に感動的でした。

もし「B'z稲葉とミスチル桜井、奇跡の対談!」なる特番の企画書を書いて提出しても「山内、だいぶ疲れてるな」と心配されるだけでしょう。テレビでは決して実現しなかったであろう73分という長尺の対談は、1秒たりとも目が離せないものでした。

今回の事件は、例えるなら違う漫画の主人公が共演するようなものです。悟空とルフィの対談です。いや、悟空とルフィなら戦ってほしい。それが一番ワクワクする。

ということは、稲葉さんと桜井さんなら、やっぱり同じステージに立っているところを見てみたい。それが一番ワクワクする。全然違うけど、僕の人生に欠かせない2組の共演。そんな日が来るのを密かな楽しみにして、今後もそれぞれの活動を追いかけ続けたいと思います。


【以下、2021年10月追記】

対談が公開されてから4か月後、僕が思う「悟空とルフィの共演」は実現しました(早っ)。B'zが主催するライブイベント『UNITE』でB'zとMr.Childrenが共演したのです。

対談の中では「観客が声を出せないライブ」について、2人とも前向きな発言はしていませんでした。それでもこのライブを開催したということは、2組のバンドが「今やらなければならない」という覚悟を決めたということだと思います。

ライブの配信も始まっているので、ここに詳細は書きませんが、共演した2曲は特に格別で、上も下もなく、ただ純粋に音楽が大好きな2つのバンドが心から楽しんでいる様子に鳥肌が止まりませんでした。

セットリストも、Mr.Childrenはライブ初披露となる新曲を後半に畳みかける攻めた構成だった一方で、B'zは対バンらしいシングル曲を中心で、その方向性の違いも興味深いものでした。(B'zだけで言うと、GLAYの時のセットリストと比べると、ポップさを意識したのかな?とは思います)

「完全版は配信のみ!」と大々的に謳っているので、このままパッケージ化されることはないと思いますが、それぞれがそれぞれのブロックを発売するとか、どんな形でもいいから後世に残してもらえたらなと思います。

対談からあっという間に共演が実現してしまいました。こうなるとライブのMCの中で稲葉さんが言った「またなんかあるでしょ」という言葉に俄然期待してしまいます。だってB'zのボーカルとギターの2人組という構成は、どんなバンドともコラボできる素晴らしい形態ですから(まぁ33年間、ほぼ誰とも交わらずにやってきたのですが…)。

1994年にB'zとMr.ChildrenのCDを初めて買ってから27年。14歳だった僕はすっかり大人になって、やるせないことも多い日常にとんでもない活力を与えてもらいました。今度はそれぞれのワンマンライブに行く日を楽しみに、日々の生活を送りたいと思います。

余談ですが、稲葉さんが対談のときもライブ中も「ミスチル」ではなく「ミスターチルドレン」と言っているところが、とても稲葉さんっぽくて好きです。また稲葉さんの「ミスターチルドレン」が聞ける日を楽しみに、追記を終わります。

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