息子がテレビの取材を受けてオールカットになった話
現在小学6年生の次男は、少年野球のチームに入っています。ある日、その父母代表の方からLINEで連絡がきました。そこには「この方、ご存知ですか?」というメッセージが。
続いて『せやねん!』という番組でチームの取材をさせてほしい旨のメールのスクショが送られてきました。『せやねん!』とは関西ローカルで土曜日に長年放送している、MBSの看板番組のひとつです。
取材依頼のメールはとても丁寧だったのですが「怪しくないか聞いてみましょうか?」と返すと、すぐに「お願いします!」と返事がありました。
「これだけ丁寧に書いても、最初は怪しまれるんやな…」と、取材される側の素直な気持ちに苦笑いしつつも(それくらい念入りで正しいと思いますが)、『せやねん!』スタッフに問い合わせると、やはり正式な依頼でディレクターも実在していました(当たり前ですが笑)。
取材当日、僕は東京で仕事があったので立ち会えませんでしたが、送られてきた1枚の写真がこちら。
右手の指の形が緊張を物語っています。スタジオゲストに元阪神タイガースの鳥谷さんが来るということで、子どもたちから鳥谷さんへ質問をする…という企画だったようです。
チームの中で数人が取材を受けて、いざ放送当日…。
息子のコメントはオールカットでした。
他のチームも取材を受けていて、オンエアでは10人くらいのコメントが使われていたと思います。番組を観た本人の第一声は「もう終わり?」でした。
ショートの守備をしている姿は2秒ほど映っていましたが、本来はピッチャーなのでそれも含めて不満だったようです。息子はYouTubeやTiktokのアカウントも作り、拙いながらもせっせと動画を投稿している”発信型”で、映りたかった気持ちもよくわかります。
テレビの取材は、多く撮影して厳選していくのが主流です。『せやねん!』スタッフに知り合いはいますが、さすがにここで変な権限を発動するにもいきませんでした。カットされることの可能性も十分に伝えていましたが、残念そうな顔を見るとこちらも残念な気持ちになります。
しかしこんなことが日本中のそこかしこで起こっているんだろうなと思います。道行く人に、事前にアポを取っていた人にカメラを向けて、相手の時間をもらって撮影をする。それも無償で。でも、放送を見たらどこにも映っていない。
今までカットする側だった僕も、カットされる側の気持ちを目の当たりにして、これまでやってきたこと、これからもやっていくだろうことの重大さを再認識した出来事となりました。
そして今回のことをきっかけに、思い出したことがありました。小学生のときに僕が入っていたサッカーチームに、今回と同じようにテレビの取材がきたのです。
桂文枝さん(当時は三枝さん)がやっていた番組でした。どういう特集だったが忘れましたが、僕はエンディングに2秒ほどヘディングをしている姿が映りました。今でも覚えているということは、映ったことだけで嬉しかったのかもしれません。
番組名が思い出せないので、調べたら『桂三枝のスポーツマガジン』という番組でした。そして放送局は…MBS。初めて知りました。MBSとは、僕が入社する十数年前にちょっとした縁があったのです。
強制する気はまったくないのですが、息子がテレビの仕事を選んでくれたら嬉しいなという気持ちはあります。僕の『ヘディングしているところが2秒映った』ことが、テレビ業界を目指すきっかけになった…という話であれば『今回のことで息子もテレビ業界を目指してくれるかも…』と美しく締めれるのですが、小学生の僕は何も考えていなかったので、そんなオチにはなりません。
「Tiktokが4万再生された!」と、父親よりよっぽどSNSに向いてそうな息子には、好きなように今後の人生を進んでほしいなと思います。