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しゅうかつシリーズ~「せめて、もう一回食べてから…美味過去記憶反芻対談」31〈忘れじのB級グルメ【白いご飯を語ろう④】~「五大丼が揃って大流行寸前で関東大震災が起きたそうだ。東京の料理人が家がなくなって全国に〈東京の汁かけめしの下手味が広まることに〉なったという説が書かれてる」「汁かけめしが広がるってのがいいね(笑)」「痛快だな。全国にご当地丼が誕生してドミカツ丼や鮭親子丼、はも丼、ニシン丼とかができたということらしい。三波春夫先生も丼音頭を歌ったらしいよ(笑)」~

模話1「おいしい日本のお米をたたえよう」

模話2「文藝春秋のB級グルメ関連の本の影響は大きかったよね」

模話1「久々に文春文庫ビジュアル版『ベストオブ丼』をぱらぱら見てたら、やっぱり面白くてさ…江戸時代の化政期に日本橋葺屋町の鰻飯から始まった丼が、天丼が続き文明開化を経て東京大阪で牛飯、親子丼、開化丼、深川丼、木の葉丼、舞子丼、カレー丼などが誕生したとある。大正初期にカツ丼が登場して五大丼が勢揃いして丼飯大流行の兆しが見えた、と書かれてるんだよ」

模話2「五大丼って何さ?」

模話1「鰻丼、牛丼、親子丼、カツ丼、天丼だって」

模話2「へえ、基本的には東京や大阪などの都市部で進化したんだね」

模話1「同書によると、丼ってのは元々〈東京人の気っぷに合った汁かけ飯の下手味=げてみ〉だっていってるんだよ。この辺りが慧眼というべきところだね」

模話2「大阪は汁かけめしも少し上品だよね。汁は多かったりするけど」

模話1「家康が江戸に移ったとき、三河遠州駿河の味が移ってきたんじゃないかと思うね」

模話2「銀座とかにある名店・三州屋の味付けはまさに三河的な味だよね。イコール東京の味ともいえるから、間違ってないかもしれない」

模話1「みりんきかせたり、しょっぱい醤油や味噌、ご馳走に三州味噌=赤だし使うってのはその証拠だよね」

模話2「遠州にいたからわかるよ」

模話1「ごへいもちや味噌おでんの味は東京とあまり変わらないかもね」

模話2「かしわ=鶏の使い方とか、三河のきつい塩気の塩サバの味とかね」

模話1「興味のある方は三州屋の煮付けとか食べてみるといいと思います。あれはあれで関西の人も美味しいという人はいるんじゃないかね」

模話2「別の料理と考えたらいいんじゃない?どっちも好きなものはあるしね、ボクは」

模話1「味付けのバリエーションと考えたら日本料理の幅が広がるしね」

模話2「今夜は関西風で、次は福岡風、東京風とかね…話を丼に戻そう」

模話1「五大丼が揃って大流行寸前で関東大震災が起きたそうだ。東京の料理人が家がなくなって全国に〈東京の汁かけめしの下手味が広まることに〉なったという説が書かれてる」

模話2「汁かけめしが広がるってのがいいね(笑)」

模話1「痛快だな。全国にご当地丼が誕生してドミカツ丼や鮭親子丼、はも丼、ニシン丼とかができたということらしい。三波春夫先生も丼音頭を歌ったらしいよ(笑)」

模話2「内田百閒先生も天丼のことについて書いていると載ってるね」

模話1「半分までは夢中になって食べてて、急に〈こんな食い物は犬猫がくうようなもんだ〉って〈こんなもの二度と食わねえ、明日からは水だけ飲んでいきるんだ俺は〉みたいな大人げない文章だね(笑)」

模話2「バイキングに行った後のもわくんみたいなもんだな(笑)」

模話1「まさしく、昔部活の帰りに駄菓子屋のパンとか買ったじゃん?」

模話2「ファンタとかと一緒にね」

模話1「Hくんってやつがさ、〈いやんなるパン〉と命名してたパンがあったよ。食パンに餡をサンドしてパン粉つけて揚げたやつなんだけどさ」

模話2「とちゅうで飽きて最後まで食べるのがしんどいやつでしょ?」

模話1「そうそう。下手味ってそういうものじゃない?」

模話2「そこが味があるってことね(笑)」