還暦過ぎても大盛り――たべもの記2024③「60過ぎてからのバイキング しゃぶしゃぶ編1」
もろもろの手続き等で奔走していたある日…あるバイキングを見つけた。
著名なファミリーレストランチェーンのグループ企業だということだった。
値段を確認すると…ほう、いまどき結構値段おさえめ。
妻が行きたいというので…都合のいい平日のある日に出掛けた。
60歳以上は100円引きというのがいい。
シニア割引き初。
バイキングでシニア割引きか…この年でまだバイキングでわくわくできる。
幸せなことだね~。
用事を済ませて妻と合流。
80分制限時間があるという話だったが…平日は無制限。
14時前で16時まで。2時間はある。
いちばん安いバイキングコースを注文…二人合計で3000円以下。安い。
豚肉のバラ、三枚肉のみで選択肢なし。
考えなくていいので、らくだね。
2種類のだしが選べるとのことだったが…初めてだったこともあり、
よくわからずで、基本のだしの「白だし」のみにした。
追加料金がかからないものもあることに後で気づいたが…
ここはタレなんかの種類が豊富で、
味変はいろいろたのしめそうだった。
タブレットで妻がばんばか注文を入れている。
肉以外はセルフサービスなので、交代で席を離れることにした。
先にもろもろを取りにいっている妻、
そのとき、店員さんが豚バラの皿を運んできた。
けっこう難しい表情で話しかけてきた…
「あの…注文で、いま15皿分がきていますが…
一度にお持ちしてもだいじょうぶでしょうか?
数が多いので…まちがってませんか?」
「ええ、だいじょうぶです。
全部お願いします」
あまり表情を変えずに伝えたが…
妻が大量に頼んでいることがわかり、
はずかしさと不安がつのる。
15皿着た後、さらに追加の皿が来た。
あとで知ったが…ここは一度に8皿までということらしかった…
つまり、妻は8皿を何回か繰り返してタブレットに入力しているということだ。
高々と積みあがった豚バラ皿を、
戻ってきた妻は平然とかちほこったように笑顔でこう言った。
「頼んどいたよ…早かったでしょ」
ちょっといらいらしながら、
「店員さん驚いてたぞ…
結構恥ずかしいし…
ほんとにこんなに食べられるのか?
残ったら…責任取って食べてよね」。
「大丈夫よ。1皿の量が少ないし、
食べられるでしょ?」
何を言っても返すわけにもいかないので…
10皿ずつくらい、右左に仕切られた鍋に入れる。
妻は、アクをすくうことをあまり熱心にしない傾向がある。
なので、ボクが頻繁にすくう。
薄い肉なので、意外と早く煮えていく。
妻がサラダと鍋用の野菜をとってきたので、
野菜を鍋に入れた。
水位が危険水位になっているが…
なんとか、強火にして、積みあがった皿を
あんまりはずかしくないくらいまで低くしようと
次から次へと肉を入れた。
空になった皿をセルフで返しに行く。
はずかしい…
入れ替わって、ボクもサラダと野菜をもってきた。
サラダの上に煮あがった豚バラを大量につみあげる。
豚しゃぶサラダ状態でけっこううまそうだ。
あいたほうの鍋にこれまた10皿くらいの生肉を入れる。
妻がボクのサラダの上に避難させたゆであがった肉を欲しいというので、
喜んで大量に彼女のサラダの上にのせる。
妻がボクのために酢醤油だとかゴマダレを持ってきてくれた。
しかし、大量の肉と野菜ですぐ味が薄くなる。
テーブルに醤油があったので、有効に使う。
食べてみるとかなりおいしい。
あくが、壊れた小さい肉団子くらいに大きくなっていた。
ちょっとイライラしたが、食べてみるとおいしいし、
まあ、なんとかこのくらいなら二人で食べられるかもしれない。
もう一度、セルフサービスコーナーに行って、鍋用の野菜をもってくる。
中国の旅行客のためのサービスなのか、ニラや豆苗、青梗菜もあり、
火鍋屋のようである。
ニラに小松菜など、青菜にキノコを大量にもって戻る。
席に戻ると、また妻が追加の豚バラを注文していた。
タブレットをみてみたら…37皿くらいになっていた…
「ほんとに残したら怒ります」
「だいじょうぶ」
「ボク、ゆでたてをたのしみたいから、
茹で置きのやつ食べてくれる?」
「いいよ。また、鍋であたためたらいいじゃない」
「…」
まあ、たのしそうなのでいいか…
意外においしいので、ボクもかなり食べてしまった。
生の肉はもうない。
ほっとした。
ここはカレーライスとか中華麺、
スイーツもけっこう工夫されているし、
なんか食べたいとは思ったが…
しかし、先に豚バラを食べすぎたせいで、
あんまり胃の空きスペースがない。
妻も、大量の肉と煮た野菜に飽きたようで…
デザートに入っていた。
まだ1時間以上はいられるので…少し休んで、
気が向いたらデザートでも食べようと思った。
妻が、ソフトクリームを利用したプリンをおいしそうに食べていたので、
なんだか、急にソフトクリームを食べたくなる。
ゼリーは炭酸っぽい味でなかなかおいしい。
すると…危険なものを発見してしまった。
練乳がある。
かき氷用にあるみたいだが、もっとも好きなものである練乳を、
食べないわけにはいかない…
妻がワッフルを焼いている常連風のおじさんがいたという。
なんてたのしい店なのか…値段の割に工夫がある。
デザートはほどほどにして、ボクは最後のしめに
極小盛りカレーライスを食べた。
〇ジャータとか梅〇〇のカレーの味で…好みの味であった。
外国人の方が、食べるラー油をご飯にかけて行った。
ナイスセンス…まねをした。
今回は極小盛りだったが…
次回はもう少し盛りを多くして、
しゃぶ肉トッピングで大量の食べるラー油に福神漬けを食べたい。
妻の大食いにつられたが…
還暦過ぎてもバイキング…
成る…