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三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常③「金曜日のコロッケ丼2」

コロッケは本当なら銀座のチョウシヤとかのを買いたかったが、今回は近所のまあまあうまいコロッケだ。

ほんとうは新丸子にあった肉やのコロッケがいちばん米にもあうのだが。
いまは果たしてやっているのか?
東京に戻ってきてコロッケには満足している。
いや値段は不満だが、好みは関西より関東だ。

関西は乾燥パン粉に甘い下味が苦手だ。
値段は安いが小さい。
東京も味はいろいろだが、挽き肉少しだけにマッシュポテト的にゆでじゃがをつぶしてるのがよい。
甘い味付けなしで塩味だけでよい。
今回のは、典型的な肉やコロッケだ。

新丸子の伝説のコロッケに少しだけ似ている。挽き肉をさらに引いたくらいの挽き肉がほんの少し入り、少し玉ねぎが入っていてジャガイモはかなりゆるめだ。これが少し冷めた米に合う。

電子レンジがチャクラの反対方向に回転していてよくないと聞いた。
弁当はさすがに電子レンジを使わないわけにはいかないが、すっかり使わなくなった。

ガスレンジがあるが、コロッケの衣はガスレンジと相性が最悪だ。焦げたところにガスの臭いがするからだ。

仕方ないのでフライパンで温めた。
今日は炊きたてだから気持ち温めただけ。
あつすぎる飯は揚げたてのフライには合わないと思うが、すきずきであろう。

米の味と衣からはみ出したコロッケの具、その状態には醤油が合う。
もちろんソースもいいが、まだかりかりしたところに醤油がしみこんだやつをご飯とのみこむようにわしわし食べる醍醐味。

そこに冷たい水なりお茶なりをさらに呼吸がとまってもいいくらいに押し込む。

ためいき。

ここからソースを張ってある別皿に裏表を十分染み込ませてご飯の上にのせる食べ方にかえる。

むふふ。
好きなタイプのコロッケの場合、形は崩れてしまうので皿をもってご飯の上にのっける。

ついでにソースの残りをご飯にしみてしまうぞ!という感じでラフにまわしがけする。

こうなるともう醤油の味は負けてソース独占状態になるので先に醤油糀コロッケいちをたのしむ。コロッケには醤油だけ浴びた状態で放置しておく。

いまは醤油糀でたのしんだあとに、メインのコロッケさんのソース、もちろんどろコロッケだ。

じゅうぶんに染み込んだ状態のやわやわどろコロッケをゆっくり崩してご飯をすくいだして口腔体積の六割五分くらい押し込む。
さらに押し込む。
水を飲む。
ミネラルウォーターにかえたので少しもったいない。
しかしうまい。なんじゃこりゃ。


食欲は暴走して理性を取り戻すために、一度トイレに行く。

手を洗い仕切り直す。

戻ってきて見てみるとコロッケ丼はもうコロッケは1個と半分ちょい。
ご飯もどんぶりに半分ちょい。
ここからがまた味変になる重要局面だ。
ここからは下品が支配する。

コロッケと丼めしを少し混ぜる。
さっき入れたアボカドが重要になる。
そして控えめに食べておいたスクランブルエッグ。
ぐちゃぐちゃ手前のなんか混ざってる感じがよい。
そして、ももやのやわらぎ!といきたいとこだが、倹約のため類似品台湾せい穂先メンマ。

ごまの油もやめたのでオリーブオイルを少しかける。
最後はゆっくりというかじっくり食べる。
さすがに60過ぎてるせいか、昔ほど美味しいわけではないが、満足した。

このプロセスがいいのだ。
ここまでやりつくしてコロッケ丼をたのしむことができたことに幸せを感じようとした。

もちろんこれもれいせい進化に結び付くと信じて食べた。
そう考えたら感謝も以前よりはできるであろう。
これは大げさに言うと「ありのままの自分を認める訓練」でもあるのだ。
そんなことを考えながら食べ尽くした。


【続く】
©2023 tomas mowa