三人の記憶:藪の中⑨~マリ先生⑤〈マリ先生vs.天方くん3〉~天方くんの秘密、こ〇くりさん【少年小説】
「天方くん、内緒でいろいろ聞いていいかしら?私も他人には絶対に言わないから、天方くんも言わないって約束できる?」
「…ええ、言いません。実はさっき小松左京とかが好きだって1冊しか読んでないのに言ってるてことを、ぼくは絶対に正直に言ったりできない人間だったんで…自分で驚きました。マリねえなら…いけね、マリ先生になら、誰にも言えなかったことが言えそうだって…」
「そう。いいわよ、つらいことや言えなくて苦しいことがあれば言ってみてね」
「ありがとうございます」
「びっくりするようなこと聞いてもいい?」
「どんなことですか?」
「あなたは金縛りにあったり、れいしょう、つまり幽霊をみたり、なんだかいやな不吉なものを見たり感じたりしたことあるんじゃない?」
顔が明らかに動揺していた。
「ちょっとおかしなこと聞いてしまってごめんね」
「実は、そういうこわいことがあるんです」
「天方くんはオカルトが好きなの?」
「ええ、兄が詳しくてムーとか心霊写真集とかUFOとか超能力とか…ボクもその影響で詳しいです」
「そう。金縛りにあうの?」
「ええ、8歳の頃からあります…とりつかれたんじゃないかって…いまもまだとりついたままで…」
「8歳の時に何かあったの?」
「自宅で兄がこっくりさんをクラスメートたちとやったんです」
「お兄さんが主導で?」
「ええ」
「やり方はどこで調べたかわかる?」
「確かムーの別冊のムックでしたか? いろいろあって特定できないです」
「いまもそのときに参考にした本は天方くんのおうちにあるの?」
「はい」
「何か起こったの? そのとき…」
「隣の部屋で盗み聞きしてたんです。ぼくは体の調子が悪くなりました」「お兄さんたちには何も起きなかったの?」
【続く】
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