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キマダラコウモリ Endoclita sinensis

2020年6月下旬、ほげほげと帰宅の途についていたところ、
すごい生命体を見つけました!

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道沿いの植栽を見ながら歩いてると、
ぶら下がった枯れ葉が一片。

素通りしようとしましたが、不自然に肉厚です。

よくよく見てみると、
脚…生えてる〜。

んん??
なにこれ。

初めてみる昆虫で、生死も種類も検討がつきません。


最初、下が頭だと思って怯えていましたが、
上に眼がある!

・・・・・

蛾の仲間か!

近くのベンチに座り、
「枯れ葉 擬態 昆虫」
「枯れ葉 蛾」
「ぶら下がった 蛾」
などの単語で検索→画像をスクロールすると、
まさにドンピシャな写真がありました。

キマダラコウモリ Endoclita sinensis 

とあります。

おそらく間違いなさそうです。

この個体は雌なのかな?

(これだけ特徴的な昆虫だと、大抵Googleの検索画像を見て大体の当たりをつけられるので上記の方法をよくやります。そこから、これかな?と思った種名などで詳しく検索します。手元にちゃんとした図鑑があれば良いのですが、絵合わせで済ませてしまうこと多々あります。)


コウモリガ科 ということで、
たしかにこの重厚感、ぶら下がった様子、
コウモリっぽいです。

↑こんな感じのぶら下がっているコウモリにも見えてくる?


飛翔は見られませんでしたが、飛び方がコウモリに似ているとのことです。

雌は飛ぶのは不得手だそうですが、実際どうなのでしょうか。


もふもふの毛が生えた前脚・中脚がすごい迫力。
怖気付いてあまり観察をしなかったのが悔やまれます。

触覚は控えめで愛らしいです。


後脚は小さく、物につかまる際は利用しないようです。



葉にしっかりとつかまる様子が観察できます。
よく見ると爪のVの字が可愛い。


幼虫は植物の枝茎内部に食入し、果ては枯損させてしまう害虫として、
数多の人々に目をつけられる存在とのこと。

雄はこのぶら下がった状態の雌に腹部をつけ、
宙ぶらりんで交尾をするようです。
器用ですね。

また、産卵の際は、飛びながら卵を産み落とすそうな。 
無茶苦茶格好いいですね!
巨大キマダラコウモリから卵の投下!
3日間にわたり、約2000の卵を産むという記録もあります。

トンボだと空中産卵がありますが、蛾の仲間にもそのような産卵様式があるのですね。
思えば昆虫の産卵の仕方というのは、詳しく知っている種類の方が少ないなぁと思いました。

調べると、同属のコウモリガの雌は、
地上を徘徊しながら産卵する様子も観察されているようです。
たしかに、飛びながら産むって想像しただけでハードですし、気持ちは分かります。


通行人は皆、その存在に気がつきません。
私だけが知っているという妙な優越感があります(まさに公然の秘密!)。


実はこの日は、ひたすら河川敷で石起こしをしてヘビトンボの蛹を探したものの見つからず、とぼとぼ歩いておりました。
帰路で面白い昆虫を見つけられて嬉しかったです。

やはり、野外に赴けば、何かしらの発見があるものですね。

次回出会う機会があれば、怖がらずぜひ手につかまらせて、
その重みを体感してみたいです。


【参考文献】(2020.06.26参照)

みんなで作る日本産蛾類図鑑−キマダラコウモリのページ
http://www.jpmoth.org/Hepialidae/Endoclita_sinensis.html

宮田 渡;キマダラコウモリの交尾
蝶と蛾 1963 年 14 巻 3 号 p. 78-
DOI https://doi.org/10.18984/lepid.14.3_78_1

於沢寛; 農村啓輔; 小浜礼孝. コウモリガ幼虫の加害植物について. 1963.
http://shark.lib.kagawa-u.ac.jp/kuir/file/2112/20120327035236/AN00038339_15_1_1.pdf

松沢 寛, 小浜 礼孝, 豊村 啓輔;コウモリガの交尾・産卵について
日本応用動物昆虫学会誌 1963 年 7 巻 2 号 p. 153-154
DOI https://doi.org/10.1303/jjaez.7.153

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