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オヤカマッサン

「おおきに、はばかりさん」。「トイレを拝借してありがとうございました」ということではない。東京ではトイレのことを「はばかり」と言うので、京都ではトイレにも「さん」をつけるのかというとそうではない。京都では何にでも「さん」をつける傾向がある。
「大丸さん」とデパートにもさんをつける。「うんこさん」も然り。
京都での「はばかりさん」は、ご苦労さんと骨折りを謝すときの言葉。それもそんなに大変な骨折りではなく、ちょっとお世話になった時に使う。
例えば、大丸さんでぎょうさん買いもんしてトイレに入った時、お連れさんに荷物を預かってもらって出てきた時なんかに「あーほっこりした、おおきにはばかりさん」とか。

この場合の「ほっこり」も最近では違う使い方が主流になっているようで…。
「ここの喫茶店、静かでほっこりするね」とか。何か変で少し違う。ほっこりは癒やされた時とか温かみを感じた時には使いまへん。程よく疲れてホッとした時に思わず出てくる言葉が「ほっこり」。行動に対してご苦労さん的なニュアンスが含まれる。

ご近所のお家にお邪魔して帰るときに使うのが「おやかまっさん」。
やかましくしてすんまへんどしたなぁという意味で、子どもの頃までは友達のお宅に遊びに行って帰る時には「おやかまっさんでした言うてくるんやで」と親からうるさく言われていたものだ。

また、京都以外でも何故か広く知られているのが「そうどすえ(男性の場合は“そうどすなぁ”となる)」。同じ上方言葉でも大阪言葉になると「そうだす」となる。ここでの「ど」と「だ」は僅かな違いであれ、絶対的な違いがある。このニュアンスの違いがわかれば上方通ということに。

違う意味合いで使われるようになった「ほっこり」以外は、巷では最近は耳にすることもなく、花街あたりでしか聞くことがない。そんなこんなの気になった京都の言葉を並べてみましたが、細かいやかましい話ばかりで「すんまへん、おやかまっさんどした」

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