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ロージ

路地。京都では「ロージ」と言う。 
表通りから入り込んだ家に通じる細い道のことだ。
ロージには二種類あって、一軒ロージと呼ばれる一軒の家専用のものと、数件共用のものがある。
このようなロージは京都の中心部の街中の町内には2〜3本はある。
(街中の町内は通りから次の通りまでの区間が一つの町内になっているところが多い)
行き止まりになる細い道を「路地(ロージ)」と言い。それに対して次の通りへ抜けている細い道を「図子(ずし)」という。
ロージの多さに比べて図子の数は少ない。ロージには名前が付かないが、図子には呼び名がつく。
例えば「膏薬(こうやく)図子」や「了頓(りょうとん)図子」。表通りにはなれないが、それに準ずる扱いを受けていたのだろう。
ロージは自動車が幅を利かせている現代で、最後に残った人間の道である。自分の家から一歩出るが、表通りまでは出ない。そこの住人だけのプライベートスペースであり、昔は子どもたちの格好の遊び場になっていた。また一軒ロージは茶庭の風情を感じさせる路地もある。


写真は四条通から綾小路通に抜けられる膏薬図子からさらに入り込んだロージ。今はなくなって店舗スペースに生まれ変わっている。その昔、このT字型のロージには数件の家があり、突き当たりにお地蔵さんが鎮座していた。ロージの中に住む子どもたちを見守り、地蔵盆も賑やかに行われていたことだろう。
ご近所のほど良い間合いの付き合いが身に付いてきた生活は、こういう空間から熟成されてきたのかもしれない。

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