ドライなホタルイカにしてくれ
つねづねホタルイカについては、どうしたものかと思っていました。
それなりの店で酢味噌和えなどを食べると抜群にうまいのだけど、家で何度作ってもそれなりのレベルにはならないのです。
都会のスーパーで流通するようなものの鮮度の問題でしょうか。
火を通せばいいのかと、炒めてパスタにしてもどこか今ひとつなのです。
いや、自分の腕の問題かな。
ホタルイカのパスタと言えば、菜の花とのセットが定番です。
それ以外の組み合わせをあまり見たことがありません。
「ホタルイカ 菜の花 パスタ」で料理サイトを検索すると、134件もありました。
どちらも旬の時期が同じ春だからでしょう。
春の最強タッグと言えます。
春を知らせるロード・ウォリアーズとも言えます。言えませんか。
とにかく、どちらも名前からして強すぎるのです。
ホーク・ウォリアーとアニマル・ウォリアーのことではありません。
まず「菜の花」だなんて。
”菜”と”花“というメジャーな一文字の一般名を組み合わせただけで名前にできるなんて、ずるすぎます。
「木の芽」もそうだな。「魚の目」もだ。例として良くないか。
きっと他の野菜たちから嫉妬されているはずです。
そして「ホタルイカ」。
「蛍烏賊」。
蛍が付くと、だいたいのものが詩的にパワーアップします。
蛍火、蛍雪、蛍草、蛍石、蛍袋、蛍族。
マンションでやると苦情を受けるものが混ざっていますが。
とにかく強い名前のそれらが春限定でタッグを組んでやってきますから、少々味が悪くても名前に騙されてしまいます。
最初から下駄を履いているみたいなものです。
実際ボクの妻に”菜の花とホタルイカのパスタ”を作って出すと、大喜びで食べてくれます。
しかしボクは、名前ほどじゃないんだよなあって思っているのです。
いくらニンニクを利かせても、遠くの方に生臭さがあって、そいつがなかなか消せないのです。
やっぱり日本海側の漁港で、獲れたてを待ち構えないといけないのでしょう。
そんなこんなでモヤモヤしているとき、いいことを思いついたのです。
軒先にぶら下がっている、あの青いアレを見ていた時に。
うーむ。
もうやめよう。
しょうもないイントロであった。
ただのレシピ紹介なのでした。
これを青いアレで干します。
“ひもの干しネット“です。
よく金目鯛や鯵、椎茸などを干していました。
塩水に晒した後、3日ほど風に当てます。
何やら黒く、カラカラになりました。
それらを水で戻します。
見た感じ、元に戻りました。
せっかく干したのに、水で戻すって普通はおかしい話です。
実は干したままのホタルイカを料理してみて、やっぱり違うかってなったのでした。
干し椎茸だって戻すから変じゃないか。
この後、他の料理の準備もあってドタバタして写真は撮れずでした。
しかもホタルイカの相手は菜の花じゃないときている。せめて春キャベツだったか。
とにかく適当な野菜と炒めて、パスタの茹で汁を入れて、塩コショウで味を整えるのです。
ホタルイカは臭みが無くなったうえに、旨みが増しました。
激ウマです。
鮮度が完璧でなければ、ホタルイカはどんどん干しましょう。
そしてどんどん戻しましょう。
しかしそろそろスーパーから見なくなりつつあります。
ちょっと記事にするのが遅かったかもです。
また何か干したらすぐに記事にしようかな。それではまた。
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