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 ひとりぼっちのヒヨドリ その19

 

(このシリーズは、別ブログで書いた記事を編集したものです)  

   前のお話 ➡ ひとりぼっちのヒヨドリ その18


  ブルーベリーを食べに来た?

昨日梅雨明け宣言が出されたら、
今日はいきなり真夏日。



ようやく涼風が吹き始めた5時頃、
夫が「ブルーベリー そろそろ採れる頃かな」
と庭に出て行った。

  エーッ、
  黒いの少ししかないけど―お、
  ひよちゃんが食べに来るかもしれないから
  採らないでおきたかったのに (◎_◎;)


去年 枝が茂りすぎて通路の邪魔になっていたので、
邪魔になっている枝をちょっと切っただけなのに
まるでスネてしまったかのように
今年はいくらも実が付いていないのだ。

いつも採るのは私の仕事なのに
珍しく夫が自分で採ろうと思い立ったのを、
「ひよちゃんに残しておいておいてやって」
とはちょっと言いにくかった。 

  まあいいか。 
  毎年ビッシリ実が成ってたって 
  ヒヨドリが食べてるのって見たこと無いし、 
  それに今年は不作で 
  ヒヨドリの目につくほど実が付いてないから、 
  少しばかりのブルーベリー食べには来ないでしょう。


間もなく戻ってきた夫、

「今年はいくらも成ってないな。  
 これだけしか採れなかった」

見れば小さなボウルの底に20粒程ばかり。 


しばらくすると、

 ピーーーッ! ピーーーッ! ピーーーッ! と

昨日とは打って変わって元気な鳴き方のひよちゃんの声。 

  あ、また来たの?! (*^。^*)      



ひよちゃんは
ブルーベリーの向こうの物干し竿に止まって
こっちを向いて鳴いている。

  ピチヨ ピチヨ、
    ピチヨ ピチヨ


居間にいた夫に
「ひよちゃんがなんか言ってるみたいよ」
と言ったら、

「そうだな。
 なんかくれってか?
 さっき採ったブルーベリーやってみろ」  

「そんなーあ、今更無理よお。 
 エサのお皿は外しちゃったし、
 今持って行ったら逃げちゃうに決まってるでしょ」

   あ、バナナ切ってブルーベリーの枝にでも
   刺して置いてみようかな?

   あ~あ、エサ入れ外しちゃわなけりゃ良かった


と思った瞬間、
(きっと目の前のブルーベリーの木に
 実が付いているのに気付いたのだろう)
ひよちゃんは物干し竿からブルーベリーの木に向かって
サーッと飛んだ。

  わあ!熟れたのなんかもう1個も無いのに 

慌ててキッチンに行き
バナナを切って玄関に急いだ。

  きっとガッカリして行っちゃっただろなあ

と思いながらドアを開けてみたら
案の定もうひよちゃんは居なかった。
               

  してみると、
  ちょいちょいひよちゃんが来て 何か言ってるのは
  やっぱり「なんかちょうだい」ってことなの?
  小柄で痩せてるのは
  ろくに食べていないからなの? 

     ((+_+))



   あ!もしかしたら、
   昨日の ヒュルルルーーー って鳴き方は
   「わかってくれないなあ」って意味だったのかな?



「もう当分は来ないでしょうね」と
片付けてしまったエサ入れを、
ユスラウメの木の枝の
遠くからも目立ちそうな場所に設置してみた。


早起きの夫が
「この頃よく早朝にヒヨドリが来て鳴いてるぞ」
と言っていたから、
もし今日これっきり来なくても
明日の早朝にはきっと来て食べて行くだろう。


   だけど、
   あそこで良かったのかなあ・・・
   もうユスラウメもグミも葉が茂っているだけだから、
   もしかして
   まっすぐブルーベリー目指して行っちゃえば
   エサに気付かないかも・・・・

そんな心配を夫に話してみたら
「そんな心配はいらないよ。
 鳥の眼は片目で人間の両目と同じ性能を
 持っているんだぞ。視野が広いんだ」


   へえーえ、
   大丈夫かなあ
   ちゃんと食べてね!


あの痩せて小柄なひよちゃんが心配でならない。


   またあしたきっと来るのよ!

 

   つ づ く 


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