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猫の幸せって?ノラネコが連れてきた子猫たちは・・・最終章

    
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庭に霜は無かったが、
その向こうの小さな畑の野菜たちは
霜で真っ白に凍えていた。
夏の間採れ過ぎて困ったキュウリもモロッコインゲンも
トマト・ナス・ピーマンなども、
もうすぐ気温が上がったらみんなクタッと萎れてしまうのだ。


夫はいつも私より2時間ほど早く起きる。
(その代わりに、夜は私より2時間以上早く眠ってしまう)                     
          
「猫、下の畑の隅っこに埋めてやったぞ」
「うん、・・・ありがとう」


あんなに 昨夜は心ザワついて辛かったのに、
意外と気持ちが軽かった。

大脳ってのは、
前夜に必死でがんばって解けなかった数学の問題などを
眠っている間にきちんと整頓しておいてくれて
翌朝にはちゃんと答えが出たりするものだけど、
どうやら気持ちの整理もしておいてくれるものらしい。


ところで・・・

  

←(・ω・;)(;・ω・)→



ドラミの姿が見当たらない。

  昨夜ドラミはどこで寝たんだろ・・・・・
  チャトラが居なくなってからは、
  いつもチャトラにしっかり抱かれて寝ていた
  猫ハウスを見捨てて、
  この寒いのにひとりぼっちで・・・・

  どこか暖かい場所見つけてあるのかなあ 😢


朝食の支度をしながらまた考える。

  猫の記憶力ってどんなもんなんだろ。
  初めてうちの庭に母猫に連れられて来た時のことは
  ・・・まあ無理としても
  チャトラにしっかり抱かれて寝ていた時のこと
  ・・・は覚えてるかも。
  昨日までのおっきいオナカ抱えて大変だったこととか
  昨日、何かがお腹から次々に出てきて
  ビックリした時の記憶もあるんでしょうねえ・・・・

  その内に帰ってくるんでしょうけど、
  あ、冷蔵庫に鶏の皮茹でたのとってあったっけ。
  帰ったらあれ上げよう。
  きっとキャットフードよりあれの方がいいね。
  お産の前後って蛋白質が余分必要じゃないかって気がする。

  
      
翌日も、翌々日もドラミは帰ってこなかった。

 
3日後の夕方、庭に出て

  ドラミはどうしちゃったのかなあ。
  出産で随分体力消耗したんだと思うけど、
  大丈夫かなあ
  死んじゃったのかなあ・・・ 

などと考えている所に、ちょうどドラミが帰ってきた。
        
「ドラちゃん! 大丈夫だったの?
    心配しちゃったよ!」

すっかりげっそりとやつれてノロノロと、
ずっとしっかり私を見ながら歩いてくる。
そして、私から1メートルほどの所までくると、
いつものようにそれ以上は近寄ろうとせずにそこで座った。

「待ってて、ゴハンあげるから、そこに居てね!」

急いでキャットフードと水をそれぞれお皿に入れ
持って行ってやると、水をちょっと飲んで
気の無さそうにキャットフードを嗅いで、
食べずにまた座ってしまった。

「分かった、待っててね!」

急いでキッチンに走って行き、
先日ドラミに上げようと茹でて刻んでおいた鶏肉の皮と、
夕食用に煮ておいたカレイの煮つけを一箸取ってお皿に乗せてやった。
でも、ドラミはちょっと匂いを嗅いだきり食べようとしない。

「食べないの?」と優しく聞くと

私を見ながら「ニャー」と弱々しい声で目を細くして鳴いた。
「具合悪いの?」と聞くと
また「ニャー」と目を細くして鳴いた。

 あ
 
目を細くするのって「幸せ」のメッセージなんだっけ

・・・以下は第一章からの抜粋です・・・

《 猫が幸せを感じる時 》

① 喉をゴロゴロ鳴らす

  人間にさわられるのをこばんでいるドラミは
  猫じゃらしにじゃれる時だけゴロゴロ言ってたっけ。
  猫じゃらしで遊ばせてもらう時だけが幸せなの?

② 尻尾をピンと立てる

  そう言えばドラミは
  私がエサをお皿に入れるのを待つ間
  いつも
  尻尾をピンと立てて離れたところでウロウロしてる。

③ 飼い主にスリスリする

  チャトラはよくやってるけど、
  ドラミも一度だけ私の足元に来てやってたねえ。
  そのくせ なでようとしたらサッとにげてしまって・・・
        ? ? ?

④ お腹を見せる

  ドラミはこれまで一度も無かった。

⑤ 顔をなめてくる
 
  「抱っこしてはいけない」と決めているのだから
  これは当然無し。

⑥ 何かをひっかく

  あそうそう、
  そういえばドラミは
  私が外出から戻ってくるとどこからか走ってきて、
  必ず庭の隅の立ち木に伸び上がってガリガリひっかく
  あれって幸せな気持ちの表現だったのかあ・・・

⑦ 目を細める


  そう言えばドラミは エサを待つ間、
  
いつも座って私の方を見て大きな目を細くしている
  「なんだか度々目をしょぼつかせてるけど、目が悪いのかあ」
  と思ったりしてた。
 
  そうかあ、ドラミも時折幸せを感じているんだ。
  ・・・なんだか切ないねえ。
      はがゆいねえ。

 ・・・・・引用ここまで・・・・・


思えば、これがドラミと交わした「最初で最後の会話」だった。

そして、ドラミはやっとのように立ち上がって後ろを向き、
道の向こうに広がる畑の中をゆっくりと歩いて行き
やがて見えなくなった。

私はもう、黙って見送ることしかできなかった。(/ 。;)


  きっとドラミは私に別れを告げに来たんだ。  
      
  私に「幸せだったよ」と伝えたかったんだろうか?
  あの子は私のそばにいる時
  いつも私との間に1メートル程の距離を置いて、
  一度もなでたりすることはできなかったけど
  私を嫌ったり避けていたわけじゃないんだ。
  時々「幸せだよ」とメッセージを送っていたんだもの。
  いまさらだけど、私を見る時のドラミの眼は
  彼女の母猫みたいに険しく尖った眼じゃなかった。
  丸く大きくて潤んだような眼だったっけ。


  あの痩せた小さな体で4匹もの子猫を産むなんて
  無理だったのに違いない。
  すっかり弱りきって、死期を悟って
  私にお別れに来たんだ。 
      
    

  ・゜・(ノД `)・゜・




  いつもチャトラが餌を食べていてもなかなか来なくて、
  気が付けばドラミは庭や畑で昆虫探しをしたり
  小鳥をつかまえてたりしてて・・・

  だけどあの子は自分で半野生の暮らしを選んだんだもの。
  きっとその生き方が幸せだったんだろなあ。

 ・・・あんまり フに落ちないけど・・・・・・
 
  どこで目を閉じたんだろう。 
  あの様子ではきっと、
  疲れて眠るように逝ったんでしょうねえ。
     😢


  さよなら ドラミ。
  今度生まれてくるときは
  どんな所で、どんな親から生まれて、
  どんな人に飼われるんだろね。
  次はもう「半野生の暮らし」はやめようね。
  お前にとってはあれが幸せな生き方だったのかもしれないけど、
  もっともっと幸せな猫で生きられるように祈ってるからね。

  

さよなら  ドラちゃん!!



     お ・ わ ・ り

ドラマチックな胸痛む悲しいお別れでした。
これを書きながら、
ドラミがゆっくりと去って行く後姿が思い出されて、
つい胸がジワッとしちゃいました。

    ( ;∀;)


次は一昨年我が家の天井に侵入したハクビシンの騒動の顛末です。  

            

    我が家のハクビシン騒動


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